酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
〈侍ジャパン戦力分析〉左腕の少なさ+千賀滉大と大野雄大は気がかり、野手は充実… “ガチガチの本命”という重圧を跳ねのけられるか
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2021/07/28 06:02
巨人との強化試合に勝利した侍ジャパン。果たして金メダル獲得なるか
実質的なエースは山本、続くのは森下と……
実質的な日本のエースは、山本だろう。今季になって奪三振率も上がり、無双と言っても良い。強敵には山本をぶつけることになる。7月24日の壮行試合でも完璧の仕上がりだった。
さらに森下も安定感のある投手であり、先発として試合を作ることができる。田中がこれに次ぐか。豊かな経験は大きな武器だが、最近はツーシームを痛打されるなどやや不安な部分も見えている。ただし7月25日の壮行試合では巨人の9人の打者に対しわずか26球で仕留めた(1被安打)。仕上げてきた印象だ。
今回の東京五輪は球数制限こそ設定されていないが、炎天下の正午開始の試合も予定されるなど過酷な日程なので、イニング数は限定されるだろう。青柳、伊藤などは中継ぎに回るのではないか。
救援陣は若手中心で強力ではあるが、短期決戦の国際大会では「一度打たれると次戦以降、使えなくなる」ことが多い。2019年プレミア12に出場したDeNAの山崎康晃が中心と目されるが、「誰を軸にするか」を戦いながら決めていくことになる。
守備力が高い捕手陣、内野手は村上以外プレミア12の面々
<野手> ※は左打者
<捕手>
梅野隆太郎/30歳 阪神
83試271打67安2本24点7盗 率.247 OPS.646
甲斐拓也/28歳 ソフトバンク▲
88試270打64安8本32点4盗 率.237 OPS.672
捕手は現時点でベストの2人だろう。ともにリードには定評があり、守備能力が高い。そして数字以上に勝負強い打撃での貢献も期待できる。
<内野手>
山田哲人/29歳 ヤクルト▲
80試295打79安25本65点3盗 率.268 OPS.926
源田壮亮/28歳 西武▲
65試248打70安1本15点18盗 率.282 OPS.708※
浅村栄斗/30歳 楽天▲
88試300打88安10本43点0盗 率.293 OPS.874
菊池涼介/31歳 広島▲
73試288打83安7本25点1盗 率.288 OPS.750
坂本勇人/32歳 巨人▲
60試213打58安11本23点2盗 率.272 OPS.856
村上宗隆/21歳 ヤクルト
83試291打75安26本61点8盗 率.258 OPS.954※
内野手はヤクルトの村上宗隆を除いて2019年プレミア12に出場した顔ぶれとなった。働き盛りの選手がそろい、安定感がある。一塁は楽天の浅村が守り、遊撃の先発は坂本だろうが、誰が出場しても戦力ダウンはほとんどない。
三塁は村上。このところ守備力も飛躍的に伸びているし、打撃でも状況に応じたバッティングができる。若いが中軸を任せることができるのではないか。