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“J3が主戦場、五輪代表も控えGK続き”だった谷晃生が正守護神になるまで 川口能活コーチも認める「強み」でメキシコを止めるか 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byKaoru Watanabe/JMPA

posted2021/07/24 17:03

“J3が主戦場、五輪代表も控えGK続き”だった谷晃生が正守護神になるまで 川口能活コーチも認める「強み」でメキシコを止めるか<Number Web> photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

南アフリカ戦でゴールマウスを守った谷晃生。メキシコ相手にも無失点なるか

定位置を掴んだのは大迫、一方で谷は……

 広島でレギュラーの座を掴んだ大迫が同世代の中でいち早くJ1でのプレー経験を積み、東京五輪代表チームでもポジションをがっちりと掴むのだ。

 19年6月にブラジルで開催されたコパ・アメリカで1試合に出場した大迫は、10月のブラジル遠征、11月のコロンビア戦、20年1月のU-23アジア選手権のすべての試合で代表チームのゴールを守った。

 一方、ガンバ大阪でJ1での経験を積めていなかった谷は、10月のブラジル遠征以降の活動すべてに招集されたものの、一度もピッチに立つことができなかった。谷が振り返る。

「長く選出してもらったなかで試合に出られなかったのは、自分が力不足だったから」

 もちろん、ライバルの存在が自身の成長を促さないはずがない。

「僕が試合に出られないときにサコが出ていたり、サコがいいパフォーマンスをすれば、刺激になります」

 20年1月の時点では、よほどのことがない限り、本大会でゴールを守るのは大迫をおいて他にいないと思われた。

 ところが、よほどのことが起きた。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、東京五輪の1年延期が決まったのである。

ガンバでは東口さんと同じ土俵にすら乗れていなかった

「J1の舞台で自分のプレーを発揮する、1年間で見違える成長をするという目標を持って、湘南にお世話になることに決めました」

 谷がアカデミー時代から過ごしたG大阪を離れ、湘南に期限付き移籍することが発表されたのは、20年1月のU-23アジア選手権が開幕する直前のことだった。

 G大阪では元日本代表GK東口順昭の高い壁に阻まれ、J3に所属するG大阪U-23チームが主戦場だった。

「ガンバは居心地がいいというか。環境も恵まれていますし。そうしたことの有り難さも外に出てみないと分からないと思うんです。自分のことをまったく知らない人たちの中で自分がどう変わるのかという楽しみもあった。それに、ガンバでは東口さんと同じ土俵にすら乗れていなかったから、純粋に競争を求めてもいて」

【次ページ】 待ちに待ったJ1デビュー戦で最高の「1-0」

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