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日本代表の“新型トップ下”鎌田大地が「両親のために」プレーする理由…父が土下座して頼んでくれたこととは
posted2021/07/13 17:03
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Kiichi Matsumoto
フランクフルト、日本代表の中心選手として活躍する鎌田大地選手のインタビュー記事の後編です(前編はこちら。記事末尾の「関連記事」からもご覧になれます)。
力みのない、巧みなゴールであった。
コロナ禍によって国内では1年4カ月ぶりの国際Aマッチとなった3月25日の韓国代表戦(日産スタジアム)。日本代表デビューの山根視来が前半17分に先制点を挙げると、その10分後にはカウンターからパスを受け取ってドリブルで持ち上がった鎌田大地が追加点を決めた。
首を振って右サイドを駆け上がる伊東純也を確認していたが、ペナルティーエリアに入って右にボールをずらして角度をつくってからゴール左隅にボールを滑り込ませた。派手さはないが“凄味”が詰まっていた。
鎌田はこう振り返る。
「考えずにプレーできるのはいいときの証」
「あのシーンはみんながスプリントで上がっていって、自分のなかにもいろんな選択肢がありました。相手の対応を見て“いけるかな”と思ったし、右にフリーで純也くんがいるのは分かっていましたけど、ガン無視でシュートを打ったんで逆に外していたら大惨事でしたね。良くないときって考えすぎてうまくいかないもの。でもあのときはそんなに考えてもない。体がしっかり動いてくれた感じだったので考えずにプレーできるのはいいときの証だなって思いましたね」
味方を見て、相手を見て、ゴールに至る答えを瞬時に弾き出す。考えすぎとは、すなわち迷いであり、判断の遅れにもつながる。それが一切なく、彼のよどみない口調と同じようにゴールまでたどり着いた。
動き自体は悪くなかったが、韓国戦は前半のみで交代となる。実はコンディション的に不安を抱えていたという。