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日本代表の“新型トップ下”鎌田大地が「両親のために」プレーする理由…父が土下座して頼んでくれたこととは
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/07/13 17:03
5月28日のミャンマー戦で10-0の大勝に大きく貢献した鎌田
トッテナム? ミラン? 移籍について聞くと苦笑して……
「僕にお金を払ってくれているのはクラブだし、まずはクラブでの結果がすべて。強いチームでずっと試合に出ていれば代表にも呼ばれるはず。クラブで出られなかったら、代表も呼ばないでしょうから」
日本代表で結果を出しても、クラブで出られなかったら呼ばれない。だからこそクラブでの出場にどこまでもこだわる。もちろん先発で、だ。
フランクフルトでレギュラーを張ってきた鎌田には、移籍の話も飛び交っている。トッテナム、ACミランなどが候補として報じられているが、「逆にどうなっているのか僕が聞きたいくらい」と苦笑する。
移籍か、残留かは現時点で分からない。ただ小さいころからの夢が、近づいている実感はある。
「中学、高校のときから、欧州CLで優勝するチームでプレーしたいってずっと思ってきて、遠かった距離が段々と近づいているし、ここ数年のキャリアがとても大事になってくることも分かっています。この先、どうなるかは分かりませんけど、楽しみではあります」
等身大だからこそ自分も周りもよく見える
8月で25歳になる。欧州でも重要なシーズンを迎え、日本代表としても9月からはワールドカップアジア最終予選が始まる。大きなチャレンジを両立していかなければならない。
「経験したことがない以上、何とも言えないので予想はつかない。ただ欧州のトップ選手が当たり前のようにやっていること。大変であっても、それは言い訳にならない。なるようにしかならないとしか思っていないですよ」
彼は飾らない。
プレーにしても、言葉にしても。自分を大きくも見ないし、小さくも見ない。等身大だからこそ自分も周りもよく見える。いくら自分が身を置くステージが上がったとしても、見失うこともない。「両親のため」とサラッと言えるのも、その気持ちが変わることはないからだ。
不変による深化。
己が進むべき道を、鎌田大地は真っ直ぐ見据えている。
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