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日本代表の“新型トップ下”鎌田大地が「両親のために」プレーする理由…父が土下座して頼んでくれたこととは
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/07/13 17:03
5月28日のミャンマー戦で10-0の大勝に大きく貢献した鎌田
「ドイツからヘルシンキ経由で帰国して、体が凄く重くて……」
「ドイツからヘルシンキ経由で帰国して、体が凄く重くて、思うようになかなか動かない。紅白戦でも国内でやっている選手にずっとボールを回されてしまっていて。これ大丈夫かなって、久しぶりに緊張しながら試合に入ったんですよ。でも試合になったらスイッチが入ったのか、勝手に体が動きましたね」
鎌田自身も2019年10月のモンゴル代表戦以来となる国内での代表戦。時差ボケとの格闘が人知れずあった。
帰国して宿舎に入ってからは朝3、4時に自然と目が覚めてしまったが、新型コロナウイルスの感染対策のため外に出ることもできない。部屋でじっとするしかなかった。「朝9時くらいまでがとても長く感じられた」という。海外組と国内組では食事会場のエリアやマッサージルームも別。集まって談笑することもできない。朝食を済ませたら部屋に戻るしかなかった。
それでも何とかコンディションを整えて、韓国戦から中4日のモンゴル戦(30日)でも先発。1ゴールを挙げただけでなく、次々とチャンスに絡んで14点快勝に大きく貢献している。
長距離移動による疲労や時差ボケは、言わば海外組の宿命である。日本代表の試合をうまく乗り切ったとしても、ドイツに戻ってコンディションを崩してしまったら意味がない。
「1試合出られないだけでポジション争いがまた大変に」
代表でもフランクフルトでも同じように試合に出て、活躍することを日常としなくてはならない。念入りにケアを施してきたことで体の疲れはそれほどなかったという。ポジション争いを考えても4月3日の第27節ドルトムント戦には先発で出ることしか頭になかった。だが結局は、時差ボケを理由に先発から外され、後半から投入されることになる。
「体は本当に疲れていなかったし、時差ボケだけあると(アドルフ・)ヒュッター監督に伝えていました。あとは監督が決めてください、と。でもドルトムント戦でスタートから出られなかったのは、やっぱり悔しかったですね。1試合出られないだけでポジション争いがまた大変になりますから」