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日本代表の“新型トップ下”鎌田大地が「両親のために」プレーする理由…父が土下座して頼んでくれたこととは
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/07/13 17:03
5月28日のミャンマー戦で10-0の大勝に大きく貢献した鎌田
「これまでの日本代表のトップ下とはちょっと異なるのかも」
翌週のヴォルフスブルク戦で1ゴール1アシストと結果を出して、自分の存在感を見せつけたのは意地。日本代表とフランクフルト、どちらにおいても活躍して“両立”を果たしたことは、鎌田にとっても大きな収穫となった。
フランクフルトでのシーズンを終え、日本代表の5月末からの5連戦にも参戦を果たす。「トップ下・鎌田」もすっかり定着した。真ん中にデンと構えるのではなく、左サイドハーフの南野拓実ともポジションを入れ替えながらチームがうまく回るように、ある程度自由にポジションを取るのが特徴的だ。
「これまで日本代表のトップ下を務めてきた人に比べると、僕はもう一つ後ろのイメージですかね。ボランチの2人とも入れ替わることもやっているし、自分で点を決めに行くというよりはその前のチャンスメイクをよくやるっていう感じ。だからこれまでの日本代表のトップ下のイメージとはちょっと異なるのかもしれない」
鎌田に自然とボールが集まっていく。キープしてくれる、パスを出してくれる、うまくやってくれる。試合のたびに、彼の「中心感」が増してくるのは、そこに信頼があるからなのだろう。以前は鎌田の要求どおりにボールが出てこないこともあったが、その割合も減ってきた。森保一監督が要求するポイントを理解したうえで、チームづくりが進んでいる感覚もある。攻守の切り替えや最後までプレー強度を落とさないところは強く意識させられているという。
「勝って当たり前だし、負けたら批判される」
「今回は試合も結構あって一緒にプレーする時間が増えてきて、お互いの特徴もより分かってきたところはあります。森保さんはプレー強度についてもミーティングで凄く強調するし、それが森保さんのサッカー。チームとしてある程度は体現できたんじゃないかとは思います」
注目を集めたのが、東京オリンピックに臨むU-24代表との一戦だった。鎌田はここでも技ありのゴールを決めている。右足トラップから左足でゴール右隅に流し込んだ。
「この試合は僕らからしたらかなり難しい。勝って当たり前だし、負けたら批判されるでしょうしね。やりたいかやりたくないか、どちらだと言われたら、みんなやりたくはないと思うんですよ。でもチームとして凄く気合いが入っていた。僕はいつもと変わらない感じでしたけど」