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大島康徳は昭和野球史を彩った「ノンブランドの名選手」 通算2204安打に本塁打王、44歳まで現役、忖度なき好解説 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKazuhito Yamada

posted2021/07/07 06:00

大島康徳は昭和野球史を彩った「ノンブランドの名選手」 通算2204安打に本塁打王、44歳まで現役、忖度なき好解説<Number Web> photograph by Kazuhito Yamada

中日時代、落合博満らとアップに励む大島康徳。昭和を彩った偉大な名打者だった

「3大実績」がありながら殿堂入りしていない

 2000本安打を打ち、打撃タイトルも獲得し、一軍監督も経験した野球人で、競技者部門の候補から外れ現時点で殿堂入りしていないのは以下の3人だ。

 藤田平 阪神 
 2064安打 首位打者1回 最多安打1回 阪神監督65勝105敗
 有藤通世 ロッテ
 2057安打 首位打者1回 ロッテ監督153勝213敗
 大島康徳 中日、日本ハム
 2204安打 本塁打王1回 最多安打1回 日本ハム監督181勝225敗
(藤田、大島の最多安打は当時、打撃タイトルではない)

 3人ともに監督として優勝経験はない。ただ藤田平はベストナイン7回、ダイヤモンドグラブ3回受賞、有藤通世は新人王、ベストナイン10回、ダイヤモンドグラブ4回に輝いているが、大島はこれらの表彰とも縁がなかった。

 しかし2000本安打未達で、監督としても優勝していない野球人でも田淵幸一(1532安打)、関根潤三(1137安打、投手として65勝)、田宮謙次郎(1427安打)らは殿堂入りしている。大島など3人も殿堂入りしても全くおかしくないはずだ。

06年WBCが数少ない指導者歴

 大島は有名高校や大学の学閥に属していない。先輩や同輩からの引き立ては期待できなかった。それもあってか3年間日本ハムの監督を務めた以外は、コーチも務めていない。2006年、第1回のWBCの日本代表コーチを務めたのが、それ以外の唯一の指導者歴だ。「野球人脈」に属さず生きてきたとも言えるが、野球殿堂から遠いのは、その影響もあったかと思われる。

 実績に評価が追い付いてこない、大島は「地味すぎるにもほどがある」野球人なのだ。

 しかし解説者としては、快活で分かりやすく、優秀だったと思う。誰にも忖度せずにはっきりモノを言うのも心地よかった。特にある局面を短い言葉でズバッと表現するのがうまかった。

【次ページ】 MLBでの思い出深い“忖度なし解説”とは

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