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大島康徳は昭和野球史を彩った「ノンブランドの名選手」 通算2204安打に本塁打王、44歳まで現役、忖度なき好解説 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKazuhito Yamada

posted2021/07/07 06:00

大島康徳は昭和野球史を彩った「ノンブランドの名選手」 通算2204安打に本塁打王、44歳まで現役、忖度なき好解説<Number Web> photograph by Kazuhito Yamada

中日時代、落合博満らとアップに励む大島康徳。昭和を彩った偉大な名打者だった

MLBでの思い出深い“忖度なし解説”とは

 2013年のこと、BSのMLB中継でアストロズのボー・ポーター監督が、4点リードしているのに先発を下ろして小刻みな投手交代をした時に大島はこう語った。

「ポーター監督は4点リードが頭から消えていますね。"1点もやりたくない"という気持ちになっている。4点を守って逃げるじゃなくて"1点もやらずに試合を終えたい"と言う気持ちに追い詰められています」

 アストロズはこの年、51勝111敗と言う記録的な大敗を喫し、ポーター監督は2年で解任されたが、指揮官としての器の小ささをズバッと指摘した。

今年も大谷の試合を解説していた

 今年も大谷翔平の試合などの解説をしていたが、6月に入るとか細い声で、それでも一生懸命に語っていたのが深く心に残っている。

 自らのガンを公表し、その闘病をあたかも野球解説のように、明快に、前向きに語ったのも大島康徳の人間性と言えよう。

 2021年になって、野球殿堂博物館は藤田平、有藤通世、大島康徳の3人をエキスパート部門で再びノミネートした。野球殿堂としても彼らの功績を再検証する必要性を感じたのだと思うが、残念なことに大島康徳の耳に朗報が届くことはなかった。

 殿堂入りしようとも、しなくとも、大島康徳は昭和野球史を彩った名選手だった。そう断言してこの稿を終えたい。

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