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「マネージャーにもなりたくなかった」青学大・伝説の主務が明かす、“走れなかった箱根駅伝”で初優勝するまで
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2021/07/06 11:00
青山学院大学陸上部の元主務だった高木聖也さん。現在は大学の後輩でプロランナーの神野大地をサポートしている
「僕が監督の側につこうと思っていたわけじゃないですけど、僕が監督の文句を選手に言い始めたら終わりだなっていうのは感覚として分かっていました。それは控えるようにしていましたし、ミーティングで監督が話をして、最後に主務も発言するんですけど、その時は何をいうべきか、内容と言葉は事前に準備して発言をしていました」
現役選手としては苦しみ、結果的に箱根駅伝は走れなかった。しかし、主務というチームの一員として箱根駅伝・初優勝という大きなタイトルを勝ち取った。その後、青学大の陸上部は箱根4連覇を達成する。そして、高木さんは「歴代最高の主務」と呼ばれるようになった。
「歴代最高の主務」から大手銀行マンへ
大きな満足感を得て、高木さんの陸上人生は、大学の卒業とともに終わりを告げた。進んだのは、ドラマ『半沢直樹』を地でいく大手銀行マンの道。だが、社会人3年目が終わろうとしている時、福岡国際マラソンで初めてフルを走った後輩・神野大地から突然のメッセージが届いた。
「聖也さん、プロになりたいので正式な依頼としてサポートしてもらえませんか」
高木さんは携帯を握りしめた手に力が入ったのを感じた。
「えっ、マジで?」
いざ本人に真意を聞いてみると、真剣な思いが返ってきたという――。
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