なぜ青学“伝説のマネージャー”は神野大地と五輪を目指した？「箱根のような経験をマラソンでもさせてあげたい」

　青学大の箱根駅伝初制覇を支え、「青学大陸上部の歴代最高主務」と呼ばれる高木聖也さん。現在、プロランナーとして活躍する神野大地をサポートしている。

　大学卒業後は、大手銀行マンとして働いていた高木さんの元にメッセージが届く。それは、青学大の後輩・神野からの“プロランナーになるのでサポートしてほしい”という突然の依頼だった（全2回の2回目／#1から続く）。

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神野から突然の連絡に「断ったら後悔する、と直感的に」

　2017年の福岡国際マラソンが終わった翌週、神野大地から突然のメッセージが届いた。

　その内容は、「プロになりたいので自分のサポートをしてほしい」という依頼だった。その時、高木聖也さんは大手銀行に勤める一社会人。受けるとしたら今の仕事を手放さなければいけないという依頼に驚きながらも冷静だった。

「最初は驚きましたね。僕に何をしてほしいのかというのを聞いたら、一番は東京五輪に行くための確率を少しでも上げたい、そのためにプロになって陸上をする時間を作りたいのでスポンサーを探して、練習環境を整えてほしいということでした」

©Yuki Suenaga

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　神野は、青学大の陸上部のひとつ下の後輩である。高木さんが卒業した後も何度か食事に行ったり、神野が出場した福岡国際マラソンに応援に出向くなど交流が続いていた。そんな神野からの突然の依頼があった時、不思議と「現実的ではない」とは思わなかった。陸上の世界から離れていたが、心のどこかにまだ陸上に対する愛情が残り火としてあった。神野を通して再び陸上の世界に携われる、しかも東京五輪への挑戦と聞いて自分の中に沸々と湧き上がるものを感じた。

「断ったら後悔する、と直感的に思いました。東京五輪は世界一の大会ですし、その大会に選手の側から携われる。しかも後輩のトップアスリートがお願いしてきているのに、断れないじゃないですか」

　2018年3月31日、ちょうど福岡に転勤になっていた高木さんは、神野らと現地でミーティングを開き、その場でサポートすることを決断した。翌日には、上司に退職を伝えたという。

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