“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
久保建英、鈴木彩艶だけじゃない! 鬼メンタルの司令塔にアメリカ育ちの怪物センターバック「パリ五輪世代」はタレント揃い?【EUROでは17歳が活躍】
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2021/06/30 06:02
将来が期待される尚志高DFチェイス・アンリと青森山田高MF松木玖生(ともに3年)
前述したベリンガムと同じ世代、高校3年生に目を向けてみよう。
サガン鳥栖DF中野伸哉は、大きな期待を抱かせる選手の1人である。鳥栖の下部組織で育ち、昨年8月にはクラブ史上最年少記録でJ1デビューを果たすと、左右のサイドバックとしてコンスタントに出場機会を確保。今季は3バックの左CBとして安定したビルドアップやクロスを披露し、チームの快進撃を支えている。東京五輪の最終候補メンバーにも名を連ねたこともある出世頭だ。
高体連からは、プレミアリーグEASTで破竹の7連勝を達成して首位に立つ青森山田の10番を。キャプテンも務めるMF松木玖生は屈強なフィジカルとプレー強度の高さはもちろん、その強気な性格がプロ向き。自分に厳しく、冷静に全体を分析した上で他者に意見を主張できる貴重なパーソナリティを持つ。注目されればされるほど力を発揮するタイプだけに、これからどんなステージまで駆け上がるか予想ができない。
その松木と中盤でコンビを組むアンカーのMF宇野禅斗も今季目覚ましい成長を遂げつつあるプレイヤーだ。危機察知能力が高く、運動量が豊富で、相手の攻撃を摘み取る力はピカイチ。守備的な印象が強いが、攻撃を得意でドリブルでの仕掛けやトップ下の位置に入ってのフィニッシュワークにも積極的にかかわっていく。宇野は松木の陰に隠れている印象だが、いきなり冬の顔になる可能性を秘めている選手だろう。
アメリカ生まれのチェイス・アンリ
最後に、U-20日本代表に飛び級で招集された尚志高DFチェイス・アンリ(2004年早生まれ)を推したい。
アメリカ人の父と日本人の母を持ち、中学進学時までアメリカで生活。サッカー以外にもバスケットボールなど複数のスポーツをこなしたことで、その恵まれた身体を操る能力も身につけている。当初はFWだったが、中学時代に在籍したFC湘南でCBにコンバート。尚志では1年時からトップチームでプレーし、一気にプロ注目の存在にまで成長した。最上級生となった今はカバーリングの質も向上し、持ち前のスピードを駆使してDFラインの裏のスペースを埋める。大きくて速い、より存在感のあるCBとなった。
また、アンリは松木同様に海外志向で、チャレンジ精神も旺盛。日本語よりも英語が得意と笑う17歳がどのような選択を下すだろうか。
世界を見渡せば、次々に新星が頭角を現している。だが、日本サッカーにも台頭の兆しを見せるタレントは多くいる。久保建英を知る世代である彼らが五輪を飛び越えて日本代表に……そんな未来もそう遠くはないはずだ。