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「具体的で、ハッとなる」U-17日本代表が中村憲剛の助言に目がキラキラ…“欧州よりJリーグを観る”スマホ世代
posted2021/05/03 17:03
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
JFA/AFLO
U-17日本代表の中心選手の1人である神村学園高2年MF大迫塁は、興奮冷めやらぬ様子でこう語った。
「まさかあの中村憲剛さんが(合宿に)来るとは思わなかった。同じボランチやトップ下の選手ですし、40歳になっても最前線でプレー出来るのは技術や考え方があるからこそ。このチャンスを逃したくないと思ったし、自分から積極的に学びにいかなければいけないと思った」
4月12日からJFA夢フィールド(千葉県)で行われたU-17日本代表合宿に昨季限りで現役を退いた中村憲剛がロールモデルコーチとして参加した。
そもそも年代別日本代表において、「ロールモデルコーチ」という言葉をよく聞くようになったのは昨年のこと。将来を担う金の卵たちのキャリア形成において、お手本とすべき経験を積んできた選手をJFAが特任コーチとして抜擢する強化方法である。その第一号となったのが、昨季途中で現役を引退した内田篤人だ。
内田コーチが同行した合宿には多くの報道陣が駆けつけ、話題をさらったが、それ以上に収穫を得たのは選手たちだった。内田コーチはウォーミングアップから選手それぞれに個別で声をかけ、気づいたことをアドバイス。時には実演するなど精力的にコミュニケーションを図った。指導を受けたU-19、U-18日本代表候補の選手たちは、世界トップレベルのサッカーを体感し続けてきた内田の言葉や行動に大きな刺激を受けて、それぞれの持ち場へ帰っていった。
そんな先輩たちを羨望の眼差しで見つめていたのが大迫だ。
「正直、上の世代の選手たちが羨ましかった。早く上の世代に招集されたいと思ったし、U-17にも来てくれないかなとずっと思っていた」
それは大迫だけにとどまらず、この世代の誰もが思っていたこと。そこに中村憲剛がやってきたのだ。