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久保建英、鈴木彩艶だけじゃない! 鬼メンタルの司令塔にアメリカ育ちの怪物センターバック「パリ五輪世代」はタレント揃い?【EUROでは17歳が活躍】
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2021/06/30 06:02
将来が期待される尚志高DFチェイス・アンリと青森山田高MF松木玖生(ともに3年)
その筆頭は説明不要の久保建英だ。2001年6月4日生まれで20歳になったばかりだが、すでに今回の東京五輪メンバーはもちろんのこと、A代表にも定着しつつあり、この世代の旗手であることに変わりない。
さらに、東京五輪では惜しくもバックアップメンバーとなったGK鈴木彩艶もこの世代に当たる。夏で19歳となる鈴木は高い身体能力に加えてボールフィーリング力に長け、所属する浦和レッズでも出場機会を増やしており、久保同様に世代を象徴する選手として期待が集まる。
パリ五輪世代を目指す選手たちは今年開催予定だったU-20W杯、さらにU-17W杯までもが新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となり、大事なターゲットを失った。しかし、日本サッカー協会は合宿の回数を増やし、内田篤人や中村憲剛という“最高のお手本”をロールモデルコーチとして招聘することで継続強化に着手している。
パリ五輪での金メダル、さらには同時進行のA代表への活動へとつながるための種まきはすでに始まっているのだ。
順調に育つ鹿島トリオ
久保と同世代で現在U-20日本代表の選手たちから注目選手をピックアップしていこう。
彼らの特徴として、すでに所属クラブで多くの出場機会を得ていることが挙げられる。交代枠5人という恩恵はあるが、若い世代の選手たちがそれだけトップチームに絡む力をつけている証だろう。
常勝軍団・鹿島アントラーズで個性を発揮しているFW染野唯月、MF荒木遼太郎、松村優太はそれぞれ強烈な個性を持つ。
ポストプレーからの裏への抜け出しの質が高く、足元でボールを受けても個で剥がしていけるマルチな能力を持つ染野は、ひと皮剥ければ大迫勇也のようなストライカーになる可能性を秘めている。
充実の時期を迎える荒木は、ハイスピードを保った状態でドリブル、シュート、パスを高いクオリティーで繰り出せる稀有な選手。東福岡高時代はアンカーを任された時期もあるが、鹿島ではより攻撃に専念できるポジションになった分、彼のゴール前での脅威は増した。味方からすれば「ここにいて欲しい」というポジションに必ず顔を出す気が利くプレイヤーだろう。
ドリブラーとして高校選手権を沸かせた松村も順調に階段を登る。静岡学園時代は「どこからでも」仕掛けていたが、プロになってドリブルを繰り出すポイントが徐々に整理された印象だ。
ロティーナに重宝される元市船10番
プロ1年目の昨季から出場機会を獲得し、清水エスパルスを率いるロティーナ監督のもとでさらにその才能に磨きをかけているのがMF鈴木唯人だ。
ボールを多く受けてリズムを作りながらも、相手の守備陣形が崩れた瞬間にストライカーのように最前線に顔を出してフィニッシュワークに関与。市立船橋時代は器用さが仇となり、適正ポジションを見失った時期もあったが、清水ではその特徴をフルに活用し、前線のあらゆるポジションをこなして信頼を掴んだ。さらに適応力を磨けば、戦術のバリエーションを増やす貴重な存在としてステップアップする力を持っている。