沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
【宝塚記念】クロノジェネシスにルメール「特にフランスではいい結果を出せると思う」 凱旋門賞につながる22年ぶりの偉業
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2021/06/28 11:35
宝塚記念を制して牝馬初のグランプリ3連覇を達成したクロノジェネシス
ラスト200mから凄まじい加速
1000m通過は1分0秒0。メンバーと馬場状態を考えると、かなりゆったりした流れになった。
この時点で好位から前につけていた馬たちで勝負は決した。
4コーナーで、先頭を行くユニコーンライオンに、外からレイパパレ、キセキらが並びかけようとして、直線へ。
クロノジェネシスはそれらの後ろで抜け出すタイミングをはかっている。
直線で、内のユニコーンライオンにレイパパレが迫るが、ユニコーンライオンは抜かせない。3番手のキセキが伸びあぐねていると、その内から、進路を確保したクロノジェネシスが押し上げてきた。
ラスト200m手前で、クロノジェネシスは、前を行く2頭より2馬身ほど遅れていた。しかし、ルメールが左ステッキを2発入れてゴーサインを出すと、凄まじい加速を見せ、内の2頭を並ぶ間もなくかわして先頭に躍り出た。
「我慢して直線を待ちました。すごくいい脚を使ってくれた。だんだん加速して、ラスト200mは楽でした」
そう話したルメールを背にしたクロノジェネシスは豪快にストライドを伸ばし、2着のユニコーンライオンに2馬身半の差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けた。
豪快に後ろを突き放した昨年とはまた異なる、圧倒的な鋭さを見せつけての連覇であった。ナタのような切れ味を引き出したルメールもすごいが、何より馬が強い。もはや国内に敵はない。
北村友一へ「またGIを勝てると思います」
クロノジェネシスは、昨年の宝塚記念、有馬記念に次ぐ、史上3頭目となるグランプリ3連覇を達成した。過去の2頭、スピードシンボリとグラスワンダーは、有馬-宝塚-有馬の3連覇だったので、この形での3連覇は史上初。また、牝馬としての達成も初めてのことだ。
7度目の参戦で宝塚記念初勝利を挙げたルメールは、勝利騎手インタビューで、この馬の主戦騎手・北村友一への気遣いを見せた。
「北村友一ジョッキーにこんにちはと言いたい。残念ながら怪我をしたけど、それは騎手の生活ですね。だから、気にしないで、お大事にしてください。またGIを勝てると思います」