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「藤浪晋太郎は大丈夫でしょうか?」「最後はやっぱり本人」矢野燿大監督(阪神)がインタビューで厳しくなった瞬間

posted2021/06/18 17:02

 
「藤浪晋太郎は大丈夫でしょうか?」「最後はやっぱり本人」矢野燿大監督(阪神)がインタビューで厳しくなった瞬間<Number Web> photograph by Hiroshi Nakamura

2019年シーズンから阪神を率いる矢野燿大監督(52歳)

text by

金子達仁

金子達仁Tatsuhito Kaneko

PROFILE

photograph by

Hiroshi Nakamura

発売中のNumber1029号『阪神タイガース 猛虎新風伝』では、矢野燿大監督のインタビューを掲載。就任3年目の指揮官が既存の価値観に捉われない独自の監督像を明かしています。ここでは、本編で書ききれなかったエピソードを特別に公開。好調・阪神の特徴に挙げられる「走塁」にも、矢野監督の野球観が反映されています。

 なぜ阪神タイガースは走るのか。なぜ矢野燿大監督は走らせるのか。

「指示待ち人間を作りたくないから」というのが矢野の答だった。

 命じられてから動く、いや、命じられないと動けない人間ではなく、自分で考え、自分で動く人間を作る。育てる。絶対君主的な監督ではなく、生徒に寄り添う先生のような存在でありたいと考える矢野ならではの答だった。

 5月26日のロッテ戦で、印象的な場面があった。

 3-1とリードして迎えた8回裏、阪神は2アウトから大山悠輔がフォアボールで歩いた。すかさず、矢野が動く。

 代走・江越大賀。

 ロッテからすれば「これから走りますよ」と宣言を受けたような交代であり、小野郁-宗接唯人のバッテリーも十分に警戒はしていたはずである。

 ところが、相手の警戒などお構いなしに、江越は初球から走った。そして、悠々と二塁を陥れた。

矢野燿大監督のインタビューが掲載されているNumber1029号『阪神タイガース 猛虎新風伝』

「僕は野村さんにはなれないし、星野さんにもなれない」

 この日の午後、矢野から聞いた言葉が頭を過る。

「サインで動くより、自分で考えて動いた方が、成長のスピードって速いと思うんですよ」

 江越の盗塁は、明らかにベンチから命じられた盗塁ではなかった。彼が塁上で感じ、決断したがゆえの盗塁だった。

(ああ、こういうところにも矢野さんのスタイルが浸透し──)と感心しかけたそのときだった。

 江越が飛び出し、タッチアウトになった。

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