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ロッテの「逆転へ導く11番」佐々木千隼…吉井コーチにセットアッパー転向を決断させた絶品スライダーと“独特のセンス”とは?
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2021/06/09 17:03
セットアッパーとして存在感を発揮している佐々木千隼。昨日、誕生日を迎えて27歳になった
「本来は体が強い子。去年、1年間しっかりと体を作って今年は春のキャンプから中盤に投げる形を試していた」
当初は外国人のホセ・フローレス投手とのポジション争い。2月18日に沖縄本島で行われた東北楽天ゴールデンイーグルスとの練習試合(金武)では2回を無失点に抑えると、その後も練習試合、オープン戦を通じて結果を出し、アピール。一軍の切符を手に入れたのは背番号「11」だった。
「彼が自力で勝ち取ったポジション。練習試合、オープン戦を通じて投球内容を見ていて中盤をロングで任せられるいいピッチャーが見つかったぞと思ったね」と吉井コーチ。
そして柿沼と同じようにスライダーを評価した。
「なかなかああいうスライダーはない。130キロ台でギューンと曲がる。横のカーブに近いね」
そして、なによりも佐々木千にはマウンドでの独特のセンスの良さがあると同コーチは言う。
「勝負勘のある子。ストレート、スライダー、シンカーの3つでうまく抑えている。駆け引きの出来る子。相手の狙っている球とかを瞬時に見抜く力がある」と全幅の信頼を寄せる。
重宝される「逆転」へ導くピッチング
マウンドに送り出す井口資仁監督も強い信頼感を口にする。
「肩、ひじに不安がないということもあって今年はしっかりと腕が振れている。だからストレートは走っているし変化球もキレがある。自信をもって投げ込めている。ずっと先発をして、こうやって中盤で投げるようになって投球の幅が広がっている。元々、スライダーはよかったけど、ストレートが走っているから、打者は絞りにくい。ストレートを基点にしてスライダーが威力を発揮している。ここまで負けているパターンで彼が投げて流れを変えるという投球をしてくれた。彼の投球によって逆転できるチームになっているのは大きい」
マリーンズでは07年ドラフトで1位入団をした唐川侑己投手が18年からセットアッパーに転向し存在感を増した。佐々木千も同じように環境を変える事によって力を発揮できるようになった。可能性が広がった。