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ロッテの「逆転へ導く11番」佐々木千隼…吉井コーチにセットアッパー転向を決断させた絶品スライダーと“独特のセンス”とは?
posted2021/06/09 17:03
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
プロ入り5年目。佐々木千隼投手が一軍マウンドで存在感を見せている。セットアッパーとして6月8日時点で4勝1セーブ。チームの躍進に大きく貢献をしている。
ストレート、シンカーに加え、中でも大きな武器になっているのが特殊な曲がりをするスライダーだ。マスクをかぶることが多い柿沼友哉捕手はこのスライダーを「奥行きのある変化球」と証言をする。
「スライダーが普通とは違っていて、奥行きがあります。スラーブといえば、いいのでしょうかね。カーブに近い感覚の球。バッターはタイミングが合わせにくいと思いますよ」
スライダーを武器に凡打の山を築く。ただ、そこにはもちろんピッチングの大前提がある。ストレートあっての変化球だ。
「今年はストレートに例年以上に強さがあります。スピードガンよりもはるかに速く感じます」(柿沼)
昨季はわずか5試合登板のみ
2016年のドラフトにて、“外れ1位”ながら異例の5球団競合の末、鳴り物入りでマリーンズへやってきた佐々木千。1年目こそ先発で4勝を挙げたものの、翌18年は右ひじを手術して一軍登板ナシ。19年は2勝、20年は春季キャンプで右肩を痛め大きく出遅れ、わずか5試合の登板で未勝利に終わった。
勝負の5年目――先発ではなくセットアッパーとして再出発した。
セットアッパーとしての可能性を見出した吉井理人投手コーチは「ドラフト1位の実力ですよ」と前置きをしながら語り出す。