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【安田記念】“一強”グランアレグリアはなぜ敗れたか 8番人気ダノンキングリーは「これが本来の姿だと思います」 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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posted2021/06/07 11:30

【安田記念】“一強”グランアレグリアはなぜ敗れたか 8番人気ダノンキングリーは「これが本来の姿だと思います」<Number Web> photograph by Photostud

圧倒的一番人気に推されたグランアレグリアに競り勝ったのは8番人気のダノンキングリーだった

ダノンキングリーの前は綺麗にひらけて

 進路を見つけられずにいたグランアレグリアとは対照的に、外に持ち出したダノンキングリーの前は綺麗にひらけていた。

「道中のリズムがよかったことで、トモの動きもよかったですし、そのぶん、いい雰囲気で溜めることができました。これなら動いて行けるという感触を得ながら直線に向くことができました」

 そう話した川田は、そこから真っ直ぐダノンキングリーをスパートさせた。

 ラスト400m地点でも、まだグランアレグリアの前は塞がっていた。この時点で、ダノンキングリーは、グランアレグリアより馬2頭ぶんほど外の、首か半馬身ほど前に出ているように見えた。

 ラスト300m付近で、ルメールは右ステッキを入れてグランアレグリアを内に誘導した。内に切れ込みながら鋭く伸び、ラスト200m付近で、インディチャンプとトーラスジェミニの間に進路を取った。ようやく目一杯追える状態になった。

 ラスト100m付近でインディチャンプが先頭に立った。その内からグランアレグリアが凄まじい脚で伸び、インディチャンプを競り落とした。連覇達成かと思われたが、外からダノンキングリーが川田の右鞭を受けて猛然とストライドを伸ばす。

 内のグランアレグリアと外のダノンキングリーが馬体を離したまま、ほぼ横並びでゴールを駆け抜けた。

 1分31秒7の勝ちタイムで、ダノンキングリーが頭差の勝利をもぎ取った。

皐月賞3着、ダービー2着の実力が戻ってきた

 テン乗りで、相棒に初めてのGIタイトルをプレゼントした川田はこう話す。

「素晴らしい走りをしてくれました。これまでたくさんともに競馬をしてきましたし、ずっと見ていましたので、いろいろとイメージして競馬を迎えました。なかなかGIで結果を出せずにいましたが、こういうメンバーでも勝ち切れるのがこの馬の本来の姿だと思います」

 昨年の天皇賞・秋で最下位の12着に敗れて以来7カ月ぶりの実戦だった。これは安田記念がGIに格付けされた1984年以降、最長レース間隔での勝利である。

 勝ち鞍を挙げたのは、昨年3月の中山記念以来。その中山記念では、ラッキーライラック、ソウルスターリング、インディチャンプといった錚々たるメンバーを負かしている。さらに遡ると、デビューから3戦全勝で一昨年の共同通信杯を勝ち、皐月賞3着、ダービーでは首差の2着と世代屈指の力を見せていた。川田のコメントのとおり、本来の姿に戻ったというところだろう。

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