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【安田記念】“一強”グランアレグリアはなぜ敗れたか 8番人気ダノンキングリーは「これが本来の姿だと思います」
posted2021/06/07 11:30
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
またしても「一強」が敗れ、波乱の結末となった。
GI馬6頭の豪華競演となった第71回安田記念(6月6日、東京芝1600m、3歳以上GI)で、川田将雅が騎乗する8番人気の伏兵ダノンキングリー(牡5歳、父ディープインパクト、美浦・萩原清厩舎)が優勝。
単勝1.5倍の圧倒的1番人気に支持されたグランアレグリアは頭差の2着に敗れた。オークスでのソダシ、ダービーでのエフフォーリアにつづき、マイル界の絶対女王も勝利を手にすることはできなかった。
閉じ込められたグランアレグリア
波乱の気配は、道中の位置取りからも感じられた。
ダイワキャグニーがハナに立ち、トーラスジェミニが2番手。主導権争いが激しくなれば、もっとペースが速くなっていただろうが、ゲートから1ハロンほどのところで先行集団の馬順は固定された。
向正面なかほどで、先頭から最後尾までは10馬身あるかどうか。前半800m通過は46秒4。稍重だった昨年の45秒7、今年と同じく良馬場だった一昨年の45秒8よりかなり遅い流れになった。
ダノンキングリーは先頭から5馬身ほど離れた中団。クリストフ・ルメールが騎乗するグランアレグリアは、そこから2馬身ほど後ろにいて、外を他馬に塞がれている。
スローな流れのなか、後方で閉じ込められたままでは、突出した瞬発力を持つグランアレグリアといえども苦しくなる。3、4コーナーでも外には出ず、そのまま馬群のなかを進んで直線に向いた。
直線入口、グランアレグリアの前には分厚い他馬の壁が形成されていた。
まったく行き場がない状態だったのだが、グランアレグリアの首を押すルメールの手はずっと動きつづけており、手綱を引いてブレーキをかけることなく、前が開くのを待っている。このあたりの冷静な手綱さばきはさすがというべきだろう。