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宮西尚生とJFK、澤村拓一と「日米球界ホールド事情」 実はセットアッパーの地位って…MLBよりNPBの方が高い? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKyodo News/Getty Images

posted2021/05/24 17:02

宮西尚生とJFK、澤村拓一と「日米球界ホールド事情」 実はセットアッパーの地位って…MLBよりNPBの方が高い?<Number Web> photograph by Kyodo News/Getty Images

宮西尚生と澤村拓一。ここ10年の日本野球を見ていた人にとってはお馴染みのリリーフ投手だ

 阪神のジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之の3人の救援投手が素晴らしい活躍をしたのだ。

<「JFK」の4年間の成績>
2005年
 ウィリアムス75登3勝3敗0セーブ37ホールド 率2.11
 藤川 80登7勝1敗1セーブ46ホールド 率1.36
 久保田 68登5勝4敗27セーブ3ホールド 率2.12
2006年
 ウィリアムス47登3勝2敗3セーブ26ホールド 率1.90
 藤川 63登5勝0敗17セーブ30ホールド 率0.68
 久保田 47登5勝7敗16セーブ2ホールド 率3.96
2007年
 ウィリアムス60登1勝2敗0セーブ42ホールド 率0.96
 久保田 90登9勝3敗0セーブ46ホールド 率1.75
 藤川 71登5勝5敗46セーブ6ホールド 率1.63
2008年
 ウィリアムス55登5勝4敗5セーブ25ホールド 率3.09
 久保田 69登6勝3敗0セーブ31ホールド 率3.16
 藤川 63登8勝1敗38セーブ5ホールド 率0.67

 当初、久保田がクローザーで他の2人がセットアッパーだったが、後半は藤川がクローザーに回った。

 この3人は「勝利の方程式」と言われ、甲子園では絶対的な人気があった。JFKの球史に残る活躍によって、日本のセットアッパーのステイタスは飛躍的に上がった。

 野球ファンはこの3人の活躍を通して「ホールド」「セットアッパー」の意味とその面白さを知ったといえよう。

中日では浅尾がセットアッパーとして初MVP 

 そして2011年には中日の浅尾拓也が79試合7勝2敗10セーブ45ホールドの成績でMVPに輝いた。それまでクローザーのMVPは1979年広島の江夏豊、1988年中日の郭源治、1998年横浜の佐々木主浩と3人が獲得していたが、セットアッパーの受賞は初めてだった。

 こうしてセットアッパーはNPBのペナントを争う上でなくてはならない重要なポジションになった。

「ホールド」もセーブ同様、MLBからもたらされたが、本家のアメリカではホールドはタイトルではない。

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