酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
宮西尚生とJFK、澤村拓一と「日米球界ホールド事情」 実はセットアッパーの地位って…MLBよりNPBの方が高い?
posted2021/05/24 17:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News/Getty Images
今季、筆者は気になっている選手がいる。日本ハムの左腕、宮西尚生だ。6月2日で36歳になる宮西は、NPBの最多ホールド記録を持っている。
<NPBの通算ホールド数5傑 ()カッコ内は実働期間 ※は現役>
宮西尚生364 (2008-2021) 745登板 ※(日本ハム)
山口鉄也273 (2007-2017) 642登板
浅尾拓也200 (2007-2018) 416登板
マシソン174 (2012-2019) 421登板
五十嵐亮太163 (1999-2020) 823登板
宮西は関西学院大から2007年の大学生・社会人ドラフト3巡目で日本ハムに入団し、1年目から昨年まで13年連続で50試合以上登板。5月23日時点で364ホールドを積み上げ、2018年には巨人の山口鉄也を抜いて史上1位になった。
宮西のホールドポイントは前人未到の400到達
NPBでは、ホールドと救援勝利を合わせて「ホールドポイント=HP」という記録も設けている。「最優秀中継ぎ投手」のタイトルは、HPが最も多い投手に与えられるが、この記録でも宮西は1位、5月18日の楽天戦では前人未到の400HPを達成している。
宮西尚生 400 (2008-2021) 364H/36救勝
山口鉄也 324 (2007-2017) 273H/51救勝
浅尾拓也 232 (2007-2018) 200H/32救勝
藤川球児 218 (2000-2020) 163H/55救勝
マシソン 201 (2012-2019) 174H/27救勝
お気付きと思うが、このランキングに出てくる投手は、ほとんどが21世紀以降の投手だ。「ホールド」というルールは、2005年から導入された。藤川球児や五十嵐亮太のように導入以前から投げていた投手も2005年以降の記録だけがカウントされている。
「ルールが導入されることで野球が変わる」ケースが
プロ野球では「ルールが導入されることで、野球が変わる」ことがしばしばある。
その好例が「セーブ」だ。最もわかりやすい条件を挙げると「リードが3点差以内で最後に登板した投手が、そのリードを保ったまま試合を完了させた」、ほかにも「迎える2打者に連続本塁打を浴びたら同点または逆転される場面で登板」、「点差に関わらずリード時に登板し、3イニング以上を投げた」状況で、リードを保って試合を完了させるとセーブがつく。
NPBでは1974年から導入されたが、セーブが導入されてから「セーブがつく状況=セーブシチュエーション」専門で投げる投手が生まれた。これがクローザーだ。