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王者ソフトバンクが12球団“最下位”の意外な数字…なぜホークスから若手エース候補が出てこないのか?
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKYODO
posted2021/05/19 17:06
2017年のドラフト2位で専修大からソフトバンク入りした高橋礼。一軍で先発している数少ない若手投手のひとりだ
<過去5年以内のドラフト入団選手で一軍先発経験のある投手>(現在もドラフト入団したチームに在籍している選手のみ/太字は通算10先発以上/★は新人)
1位/DeNA(13名) 濱口、京山、進藤、東、阪口、齋藤、桜井、中川、上茶谷、大貫、坂本、伊勢、★入江
2位/ヤクルト(12名) 寺島、星、梅野、中尾、大下、金久保、清水、久保、奥川、吉田、大西、★山野
3位/ロッテ(10名) 佐々木千、土肥、有吉、種市、小島、中村稔、古谷、佐々木朗、本前、★鈴木
/オリックス(10名) 山岡、山本、張、榊原、田嶋、K-鈴木、本田、荒西、村西、宮城
5位/西武(8名) 今井、平井、齊藤大、伊藤、與座、松本、浜屋、上間
/広島(8名) 矢崎、高橋昂、床田、アドゥワ、山口、遠藤、森下、玉村
/中日(8名) 柳、笠原、藤嶋、清水、山本、梅津、勝野、岡野
8位/日本ハム(7名) 堀、北浦、西村、吉田、生田目、河野、★伊藤
/阪神(7名) 小野、才木、浜地、馬場、高橋、齋藤、★伊藤将
/巨人(7名) 畠、谷岡、鍬原、高橋、直江、横川、戸郷
11位/楽天(6名) 藤平、菅原、西口、弓削、瀧中、★早川
12位/ソフトバンク(5名) 高橋礼、椎野、大竹、板東、泉
過去5年のドラフト26人中の5人
順位付けをしたが、必ずしも上位のチームが優秀とは限らない。
チームにとって年齢構成のバランスは非常に大切だし、若手がやたらと多いのも逆に言えば「蓋をする存在」であるはずの中堅以上の選手が振るわないためという考え方もできる。
とはいえ、ソフトバンクの5名はやはり少ない。その中でも椎野と板東と泉についてはいずれも1度しか先発経験がない。いわゆる「谷間」を埋めただけに過ぎず、実質的には高橋礼、大竹の2名だけということになる。
ソフトバンクは過去5年間のドラフトで育成も含めて26名(支配下13名、育成13名)のピッチャーを指名して入団させてきた。その分母は他球団より圧倒的に大きい。にもかかわらず、なぜ先発ローテ候補が育っていないのか。
理由は「現有戦力の壁」と「リリーフ適性」か
先ほど「蓋をする存在」と記したが、黄金期真っ只中のソフトバンクにおいては現有戦力の壁は当然高いものになる。とはいえ、現況ではエースの千賀滉大も柱となる東浜巨も一軍に不在。今季序盤は40歳の和田毅が「一番安定していて、任せられる」と囁かれたこともあった。和田の凄みを感じるが、一方でどこか寂しい気持ちになったのも事実だ。
もう1つの理由として、ブルペン要員の補充に多くの若手が使われていることが挙げられる。盤石の継投はホークスの必勝パターンである。ここまでの救援防御率2.22は12球団1位だ。昨年も12球団で唯一の同防御率2点台だった。