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【81歳に】イチローや孫正義も魅了した、王貞治の“言葉の力”「俺、あんまり反省しないんだ」「(本塁打は)本人の中には残らない」…
posted2021/05/20 06:00
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Makoto Kenmizaki
<名言1>
俺、あんまり反省しないんだ。反省って、後ろばっかり振り返ることだろう。
(王貞治/Number116号 1985年1月21日発売)
◇解説◇
ハワイでプロゴルファーの青木功と対談した王。この言葉は、人生について反省することはあるかと尋ねられてのひと言だ。
王は1984年シーズンから藤田元司からバトンを受け継ぎ、巨人軍の第11代監督に就任。しかし、前年のリーグを制したチームを引き受けながらも、優勝を逃したことで監督としての資質を問う批判の声が相次いでいた。それでも「はっきりいって運がなかった。もう、それだけだね」と割り切った。
世界で戦い抜いてきた青木も王の言葉に対して「反省してたら、進歩がとまっちゃうと思うよ」と賛同。辛い時ほど後ろを見ず、自分自身を信じることが大切だと述べていた。
「死ぬときじゃないの、反省するのは」(王)
王は5シーズンに渡って巨人軍を率いたあと、1995年からダイエー(現ソフトバンク)の監督に就任。14年間にわたって常勝軍団の礎を築いた。現在も球団の会長職に就き、野球界に貢献し続けている。
記憶に刻まれるホームラン
<名言2>
ホームランも皆さんの気持ちの中に残るだけで、本人の中には残らないんです。
(王貞治/Number832号 2013年7月11日発売)
◇解説◇
世界記録でもある868本ものホームランで多くのファンを魅了してきた王。
自身では「集中力が持続しないタイプ」と語るが、「ホームランの感触が最高だからですよ」と全身全霊で野球に打ち込んできた理由を明かした。
しかし、「でも、今はもうその感触を忘れてしまっているんです。<中略>どう打ったかというのも、40年も経てば忘れちゃうものなんです」とあっけらかんと振り返っている。
「いい当たりをした時っていうのは、あんまり手応えがありませんからね。悪い当たりの時は痛かったり、マメができたりするのに」
打った本人には残らずとも、ホームランは観る人たちの記憶に刻まれている。