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レアル・マドリーのジネディーヌ・ジダンにつきまとう“4つの問題” 「敗北を受け入れるのが監督の仕事だ」
posted2021/05/05 17:00
text by
ザビエ・バレXavier Barret
photograph by
Mutsu Kawamori
初出:「Sports Graphic Number 1011号」(2020年9月17日発売)<真価を証明するために>ジネディーヌ・ジダン「名将につきまとう4つの留保」(肩書等すべて当時)
昨季、ジネディーヌ・ジダンは、レアル・マドリーをリーガ史上最多となる34度目の優勝に導いた。
だが、同じく最多優勝を誇るチャンピオンズリーグではラウンド16でマンチェスター・シティに敗退。フロレンティーノ・ペレス会長の全幅の信頼を受け、またコントロールが難しいマドリーのロッカールームで絶大な影響力を持つにもかかわらず、ジダンは'16年1月の最初の監督就任以来つきまとう留保――《しかし》という言葉をいまだ払拭しきれてはいない――。
ジダンがわずか9カ月のブランクを経てマドリーの監督に復帰したのは一昨季、'19年3月だった。早々とすべてのタイトルから見放され、シーズン終了までの2カ月半を彼は状況把握と問題抽出に費やした。結論は、移籍したクリスティアーノ・ロナウドの決定力にもはや頼れない以上、別のやり方で戦うしかないというものだった。
《しかし》マドリーは常に魅力的でなければ
得点が増えないなら失点を減らす。ジダンが採用したのは、マドリーの長い歴史の中でもほとんど馴染みのない守備文化の導入だった。システムも攻撃的な4-3-3から、ボランチをひとり増やした4-4-2に変更。若いフェデリコ・バルベルデが、オーバーラップする両SB、ダニエル・カルバハルとマルセロの背後をカバーした。
効果は数字に表れた。'19-'20シーズンの失点は25で、'16-'17シーズンの41、'17-'18シーズンの44、'18-'19シーズンの46を大きく下回った。ティボウ・クルトワは、リーガ最少失点GKに与えられるサモラ賞を、マドリーのGKとして12年ぶりに受賞した。
《しかし》マドリーは常に魅力的でなければならない。タイトル獲得はクラブのノルマだが、マドリーは常に人々に夢を与え、語り継がれるチームでなければならない。だがこの15年間、子供から大人にまで夢を与えたのはもっぱらFCバルセロナだった。
はたして今季ジダンは、チームを再び攻撃的にできるのか。第1次政権のときの輝きを再び取り戻せるのか……。チャレンジは簡単ではない。