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南野拓実は日韓戦で輝くはず リバプール時代に潜めていた“タキらしさ”+進化の過程とは【英国でも高評価】
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2021/03/25 06:02
リバプールで潜めていた“らしさ”をサウサンプトンで取り戻した南野拓実。日韓戦でも輝くか
年末あたりからは、リバプールの不振も重なった。CBのビルヒル・ファンダイクとジョー・ゴメスを筆頭に、怪我人が続出。チームは攻守のバランスを失い、無敵を誇ったリバプールに黒星が増え始めた。また、体力を著しく消耗するハードな戦術も影響して、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う過密日程が選手たちに重くのしかかった。
初ゴールを決めても出番の声はほとんどかからず
試合が2~3日おきに行われた年末年始には、ユルゲン・クロップ監督のセレクションが守りに入ったようにも映った。先発メンバーは、あくまでも既存戦力が中心。特に、モハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノの3トップは連戦の影響で疲労の色が濃かったが、それでも3人はピッチに立ち続けた。南野が12月19日のクリスタルパレス戦でプレミア初ゴールを決めても、出番の声はほとんどかからなかった。
それゆえ、サウサンプトンへのレンタル移籍は、まさに渡りに船だった。
「サウサンプトンではサッカーを楽しんでいる」
レギュラーとして躍動し始めた南野について、英BBC放送でも次のようなやり取りが繰り広げられた。まず同局のアナウンサーが、サウサンプトンの戦術と南野の親和性について説明を始めた。
「南野は、レッドブル・ザルツブルクで5年間プレーした。一方、サウサンプトンのハーゼンヒュットル監督は、イングランドに渡る前にレッドブル・グループの姉妹クラブ、RBライプツィヒ(ドイツ)で指揮を執った。両クラブはプレー哲学を共有しているため、南野はハーゼンヒュットル監督の志向に合致している」
すると、現役時代にリバプールやフルアムなどでプレーした元イングランド代表MFのダニー・マーフィーは「その通り」と返答。3月14日に行われたプレミアリーグのブライトン戦で、4-4-2の左MFとして先発した日本代表のプレーを高く評価した。
「南野は、非常にインテリジェンスがある選手。特に際立っているのが、左サイドから中央部にポジションを移す動きだ。誰が南野のマークにつくのか、ブライトンは把握できていない。南野は非常に危険なエリアに顔を出しており、ブライトンにとって脅威となった。南野は、リバプールで出場機会が少なかった。サラー、マネ、フィルミーノのフロントスリーから立ち位置を確立するのが非常に難しかったが、サウサンプトンではサッカーを楽しんでいるようだ」
実際に移籍後、南野らしいプレーが増えた
実際にサウサンプトン移籍後、南野らしいプレーが格段に増えている。