“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
【川崎に新加入】「自分は“フロンターレっぽい選手”ではない」法政大ボランチ松井蓮之にスカウトが受けた衝撃とは
posted2021/02/25 18:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Naoki Nishimura/AFLO
先日のゼロックススーパーカップで早くも今季初タイトルを獲得した王者・川崎フロンターレ。2022年の新戦力補強でも早速、動きを見せている。
2月25日、法政大学3年・MF松井蓮之(れんじ)の22年シーズン加入内定を発表した。川崎にとって来季新加入選手の第一号となる。
松井は屈強なフィジカルと豊富な運動量を駆使して、相手のチャンスの芽を摘み取る将来性豊かなボランチだ。選手権ベスト4を経験した矢板中央高時代のプレーを覚えている人も多いかもしれない。
法政大でレギュラーの座を掴んだのは大学3年の昨季から。いわば、“遅咲き”の選手だが、恵まれたフィジカルと高い危機察知能力に加え、試合経験を積んだことで攻撃面が大きく成長。GKとDFラインのビルドアップから、サイドと中央を使い分けながらテンポ良く崩す法政大において、ボランチ松井が見せる攻撃参加は大きなアクセントになったのだ。
「立ち姿がすごく良くなっていた」
そんな松井の変化をしっかりすくいあげたのが川崎の向島建スカウトだった。7月12日の関東大学リーグ1部第2節、向島スカウトはすでに今シーズンの加入内定を出していた桐蔭横浜大MF橘田健人の視察に訪れていた。その対戦相手に松井がいた。
「蓮之のことは高校時代に試合を観てから知っていましたが、その時は典型的なパワー系の守備的なボランチというイメージがあり、当初は獲得するという考えはありませんでした。でもこの試合で見たら、立ち姿がすごく良くなっていたんです。サイズ感といい、雰囲気がある選手になったなと驚きました」
さらに、そこから2カ月が経った9月5日の第9節・法政大vs.明治大の一戦で、向島スカウトは再び衝撃を受けたという。
「たった2カ月で彼のプレーが変わっていました。硬さが目立った足元がスムーズになり、ストロングポイントである運動量と予測の良さ、球際の激しさを出しつつ、ボールを奪ったらすぐに味方に預けたり、テンポ良い中距離のパスをきっちりと通すプレーを堂々と披露していた。この成長に“将来性”が見えたんです」