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“憲剛ロス”は少しだけ…フロンターレならできる“J史上最強”の昨季超え 小林悠や三笘薫らが見せる高い志
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byGetty Images
posted2021/02/23 06:01
ガンバ大阪も粘った。しかし最後は王者フロンターレの強さが目立つ90分間となった
意外にも、約10年ぶりにガンバから得点
歴代9位のJ1通算120ゴールを記録しているストライカーでありながら、彼がリーグ戦で得点したのは、2012年に決めた1点のみ。意外なことに、その後ガンバ大阪相手には約10年近く得点を奪えておらず、特に近年は、守護神・東口順昭にことごとく決定機を防がれていた。普通であれば入っていてもおかしくないようなシュートを、幾度となく防がれていた歴史が小林にはあった。
そのことを小林に尋ねてみたことがある。去年のリーグ対戦前の談話だが、彼は東口の実力に賞賛の言葉を素直に述べている。
「僕は東口選手が日本で一番セービング力が高いと思ってます。日本代表で一緒になった時もすごいなと思った。決めたいですね、良いGKなので」
素晴らしいGKだからこそ、その東口からゴールを決めたい思いを口にしていた。ただ昨季3度の対戦でも、結果的に守るゴールネットを揺らすことは出来ぬまま、シーズンを終えている。そんな、なかなか超えられなかった壁を超えて生まれたのが、今季最初のゴールだったということだ。試合後、自身のさらなる成長を目指し、今季の目標をこう口にした。
「昨年を上回る成績を残せるようにしたい。ACLもあるので、さらに多くのタイトルを取れるようにしたいし、個人としてはもう一度得点王を目指して頑張りたい」
「ケンゴロス」を感じながらも
リーグと天皇杯の2冠を制覇した川崎フロンターレが、どんな姿を見せるのか。2021シーズンも大きな注目を集める中で戦っていくことになるだろう。対戦相手からはより一層警戒されるはずで、そこをいかにして上回っていくのか。向き合うべきポイントも自ずとそこになる。
チームに目を向けてみると、J1復帰を果たした2005年以来、常にチームの中心であり続けた中村憲剛が現役を引退して迎える最初の年でもある。クラブのアイデンティティを継ぐ存在でもある小林は、「ケンゴロス」を感じながらも、時間が動き出していることを受け入れて、未来に向かって走り出していると力強かった。