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“憲剛ロス”は少しだけ…フロンターレならできる“J史上最強”の昨季超え 小林悠や三笘薫らが見せる高い志
posted2021/02/23 06:01
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
Getty Images
2月20日に埼玉スタジアムで行われたFUJI XEROX SUPER CUP 2021。シーズンの“前哨戦”とも言われる大会だが、前年度のリーグ王者・川崎フロンターレが3-2でガンバ大阪に競り勝ち、まずは1冠を獲得した。
小林悠の決勝弾が生まれたのは、PK戦に突入かと思われた終了間際だった。
アビスパから復帰の遠野がいきなりの大仕事
お膳立てしたのは、アビスパ福岡から復帰を果たした遠野大弥だ。途中交代で入ったポジションは右ウイングだったが、インサイドハーフの旗手怜央が右サイドに開く動きと入れ替わるように中央に顔を出して、田中碧からの縦パスをうまく引き出した。
「碧から良い縦パスが来ました。最初はワンタッチで叩こうと思ったのですが、敵が来ていなかった。うまくターンして自分でシュートを打とうと思いましたが、悠さんが良い動き出しをしてくれたので、あとはそこに出すだけでした」(遠野)
中央で相手守備陣を引きつけると、そのスペースに走り込んでいた小林の動き出しを見逃さなかった。走り出していた足元に届く丁寧なパスを配給すると、昨年のチーム得点王は、身体をひねりながら鋭く振り抜いてファーサイドにねじ込んだ。
「自分の特徴である動き出しで、相手よりも先に動いてパスを出すスペースを作って、大弥が良いボールをくれました。あとは思い切ってコースに打ちました」(小林)
流石の勝負強さだった。「値千金」という形容詞がつきがちな劇的な決勝ゴールである。ただこの1点は、チームにとってだけではなく、小林自身にとって特別な価値があるものだと感じた。
というのも、実は小林はガンバ大阪相手にほとんどゴールを決めたことがなかったからである。