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バルサ暗黒期を現地記者が回想 フィーゴの謀反、不遇サビオラ、再任ファンハール大失敗…“最悪の会長”伝説 

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ジョアン・ポキ(ムンド・デポルティーボ記者)

ジョアン・ポキ(ムンド・デポルティーボ記者)Joan Poquí(Mundo Deportivo)

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posted2021/02/16 06:00

バルサ暗黒期を現地記者が回想 フィーゴの謀反、不遇サビオラ、再任ファンハール大失敗…“最悪の会長”伝説<Number Web> photograph by Getty Images

リバウド、サビオラ、クライファートは“トリデンテ”と呼ばれたが、当時のバルサは彼らを生かしきれていなかった

 反ヌニェス派グループから受ける攻撃に加え、無愛想な性格により他のファンにも人気がなかったファンハールは、ヌニェスと同じタイミングで辞意を表明した。残されたのは既にピークを過ぎ、しかしそのことにまだ気づいていないベテラン選手ばかりのチームだった。

フィーゴの謀反は「ガスパール劇場」の幕開け

 さらには当時のチームの顔であり、絶頂期にあったルイス・フィーゴが謀反を起こした。バルサとレアル・マドリーの会長選挙を利用し、自身の給料を上げようと画策したのだ。

 フィーゴはマドリーとイタリアのクラブからオファーを受けたと言ってバルサの会長候補たち(ガスパール、ルイス・バサット、ジョアン・カステイス)に圧力をかけ、契約更新を要求した。その際、彼はマドリーの会長候補の一人だったフロレンティーノ・ペレスのオファーを承諾していたのだが、それはペレスの当選はありえないと高を括っての行為だった。

 前シーズンにCLを制したこともあり、マドリーの会長選挙はロレンソ・サンスの再選が濃厚と予想されていたのだが、実際に勝ったのはペレスだった。新会長となった彼は100億ペセタ(6000万ユーロ)の違約金をバルサに払い、フィーゴは裏切り者としてマドリーへと移籍していったのである。

 そして「ガスパール劇場」が幕を開けた。

CL出場を決めただけでお祭り騒ぎ

 オーフェルマルス、プティ、ジェラール・ロペス、ドゥトルエル、そしてそれまで下部組織の責任者を務めていたセラ・フェレール新監督が求めた、元マドリディスタのアルフォンソ。100億ペセタの費やし方は恥ずべきものだった。

 レンタル先から復帰したデラペーニャを含め、彼らのうち誰一人としてバルサで成功する者はいなかった。並行してチームは、前シーズンにはじまった避けようのない下降線をゆっくりと、しかし着実に歩んでいった。

 セラ・フェレールはシーズン終了を待たずに解任され、スポーツディレクターのカルロス・レシャックが後任に就いた。2シーズンも無冠が続いたことで人々の感覚は麻痺し、リバウドのオーバーヘッドによるゴールでCL出場権を手にした際は、ファンがピッチになだれ込むほどのお祭り騒ぎが起こった。

 何のタイトルを獲ったわけでもなく、CL出場を決めただけで。その光景はバルセロニスモの深刻な状況を物語っていた。

 翌2001-02シーズンも、ビッグスター扱いされたサビオラを筆頭にロッチェンバック、ジオバンニ、クリスタンバルといった冗談のような補強が繰り返された。チームの衰退は止まらず、コパデルレイではフィゲラス相手に敗退。CLでは再び準決勝まで勝ち進んだものの、他でもないマドリーに敗れる最悪の結末となった。

【次ページ】 ファンハール再任、コメディーのような逸話

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