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外野手・石川がブルペン入りで話題…巨人の“捕手問題”はどうなる? そもそも正捕手は小林か大城か岸田か
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2021/02/12 12:10
昨年の日本シリーズで正捕手を務めた大城。4連敗に終わったが、今季はさらなる成長が期待されている
日本シリーズは「巨人は捕手で負けた」という声
それが絶対的な正捕手が不在という現実である。
「まずは1人がしっかりしないとね」
2月10日に改めて捕手2人制に触れた原監督も、最後はその点を強調していた。
屈辱の4連敗を喫した昨年の日本シリーズ。圧倒的なパワー野球の前に屈したように見えるが、「巨人は捕手で負けた」という声を球界関係者からはよく聞く。
ソフトバンクのスピードスター・周東佑京内野手の足を封じることがテーマと言われたシリーズ。強肩を誇る小林誠司捕手をケガで欠き、主戦を務めたのは大城卓三捕手だった。
早くから原監督は大城の打撃力を買い、捕手として経験を積ませることでレギュラーへの期待を抱いていた選手でもある。
肩も決して弱いわけではない。
ただ、大城の捕手としての最大の欠点が、このシリーズで浴びたホームランのうちの2本に凝縮されていた。
ノムさんが語っていた「名捕手の資質」
1本目は第2戦。先発左腕の今村信貴投手が初回に3点を先制され、迎えた2回1死から9番・甲斐拓也捕手に打たれた追い打ちのソロアーチである。そして2本目はシリーズの行方が決した第4戦で、同じく甲斐に浴びた2ランだ。
この試合は初回に初めて巨人が先制点を奪ったものの、直後に畠世周投手が柳田悠岐外野手に2ランを許して逆転されてしまう。そうして迎えた2回2死一塁から、またも甲斐に2ランを浴び、結果的にはこの一発が勝負の流れを決することになった。
今村は初球。畠はカウント1ボール1ストライクからの3球目。打たれたのはいずれも漫然とストライクをとりにいったストレートだった。
真っ直ぐしか待っていないシチュエーションで、簡単にその真っ直ぐでストライクを取りにいった結果の2本塁打だったのである。
「名捕手に一番必要な資質は洞察力だ」
こう語っていたのは故野村克也元ヤクルト監督だった。