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130試合目でプロ初勝利 DeNAの“優しい男”平田真吾が明かす「今日打たれたら…ファームだ」から脱出できた理由
posted2021/02/12 17:35
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
KYODO
沖縄県宜野湾市で行われている横浜DeNAベイスターズの春季キャンプ。クローザーの三嶋一輝やセットアッパーの石田健大といった主力リリーフ陣と同じ班で汗を流す平田真吾の姿があった。誰からも「優しい人」と言われ、一目置かれる社会人出身8年目の中継ぎ右腕。
振り返れば昨シーズン、もし平田がいなかったらDeNAはさらなる苦戦を強いられていたに違いない。それほど重要な存在だった。
「ようやくバッターと勝負できるようになったんですよ」
昨年平田はプロ入りして初めてシーズンを通し一軍に帯同され、43試合に登板。防御率2.84、11ホールドとキャリアハイを記録した。特にクローザーへとまわった三嶋一輝の代わりとなり、ビハインドから同点の難しい場面、さらに勝ちパターンで堂々とマウンドに立ち、凄みをともなう活躍でチームの勝利に貢献した。
平田がここまでの存在感を示したのは、入団して以来、初めてのことだった。2013年のドラフト会議で2位指名を受け、Honda熊本からDeNAへ入団。コントロールよりも球の力で勝負をするタイプであり、時に目を瞠るようなピッチングをするものの好不調の波があり、一軍とファームを行き来することの多い投手だった。ドラ2という上位指名にもかかわらず、この数年間思うような活躍ができず焦りがあったのではないかと平田に問うと「そうですね……」と正直に神妙な表情でうなずいた。
ようやく結果を出した昨年は、これまでとはなにが違っていたのだろうか。
「ようやくバッターと勝負できるようになったんですよ」
平田は投手として当たり前とおぼしきことを言い、次のようにつづけた。
「自分のダメなところはバッターに集中できなかったことでした。今はバッターの特徴やどんなボールを待っているのか観察できるようになりました。昨年ぐらいからそういった意識でやっていたんですけど、考えても思い通りに投げられなかったり、カウントを不利にしてしまい後手に回ってしまうこともありました。ただ、昨年はその部分でブレずに1年間やり通すことができたのが大きかったですね」
伊藤光が分析「ピッチングのカギになったのは…」
この平田の“考えるピッチング”について助言をしていたのが、キャッチャーの伊藤光だ。同学年であり仲の良い両者は、ブルペンやベンチばかりでなく遠征先の食事会場でも意見を交換したという。伊藤は、平田について次のように語る。