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外野手・石川がブルペン入りで話題…巨人の“捕手問題”はどうなる? そもそも正捕手は小林か大城か岸田か
posted2021/02/12 12:10
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Nanae Suzuki
巨人のキャッチャー問題がクローズアップされている。
事の発端は2月3日の宮崎キャンプ。投手陣が投球練習を行うブルペンに、1人の選手がキャッチャー用のプロテクターやレガースをつけて現れた。
報道陣がざわついた。
やって来たのが、捕手が本職ではない石川慎吾外野手だったからである。
大阪・東大阪大柏原高校時代に捕手の経験はある。しかしプロ入りしてから一軍はおろか、二軍でも試合でマスクをかぶった経験は一度もない。それでも岸田行倫捕手に借りたキャッチャーミットで5年目の救援左腕・大江竜聖投手と先発右腕の戸郷翔征投手のボールを10球ずつ受けた。
「ジャイアンツに来てから何度かブルペンに入ったことはあったけど、やっぱり難しいですね。何かあった時の準備なので、最低限捕れるようにはなりたい」
小気味いい捕球音をブルペンに響かせた石川はこう語った。
原辰徳監督の抱く捕手2人制への深謀遠慮
捕手を使い切ったときのための危機管理。ほぼありえない事態だが、2009年9月4日には、そのありえない事態が勃発した。ヤクルト戦で3人目の捕手としてマスクを被っていた加藤健が負傷。急遽、捕手経験のある木村拓也内野手がマスクをかぶり見事に役目を果たしたことがあった。
それ以降、巨人ではいざというときのために、捕手経験のある若手野手が練習をするのが決まりになっている。石川もまた、これまでにもブルペンで球を受けて感触を磨いてきた選手の1人でもあったのだ。
ただ、ここには単純な危機管理だけでなく、原辰徳監督の抱く捕手2人制への深謀遠慮が隠されている。