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巨人・原辰徳監督、今季“理想の打線”が「2番・坂本勇人」から変わったワケ…カギは吉川尚輝のOPS
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2021/02/06 11:02
キャンプでの打撃練習中、笑顔を見せる坂本
理想を実現するための大きなハードルとは
「理想は梶谷が2番に入ること。そこから坂本、岡本、丸と繋がって外国人(新加入のジャスティン・スモーク内野手とエリック・テームズ外野手)へという流れを作れればかなり破壊力のある打線になるはず」
これがいま現在の構想だ。
坂本が入っても、梶谷が入っても原監督の頭にはあるのは、いずれも「攻撃型2番」で基本的に送りバントはやらない野球である。それなら長嶋流で考えれば、理想の2番は左打者となるはずで、2番・梶谷は当然の結論でもあったのかもしれない。
ただしこの2番・梶谷を実現するためには、もう1つ、大きなハードルがある。
それは吉川尚輝が1番打者として一本立ちすること。吉川が1番に入って結果を残さなければ、原構想は再び最初の形に戻らざるを得なくなる。
その吉川に原監督が求めるのはOPSの向上で、「彼が今年、本当のレギュラーになるにはOPSもかなり上げる必要がある」と語ったのは今年のスタッフ会議後のことだった。
吉川のOPSは規定打席到達者で21番目
OPSは出塁率と長打率を足した数字で、要はどれだけ塁に出て、どれだけ塁を稼いだかという得点の基本となる能力を弾き出す指標である。
昨年の吉川は出塁率が3割3分6厘で長打率が3割9分8厘。OPSは.734で規定打席到達者で21番目。規定打席到達の二塁手は吉川とヤクルトの山田哲人(.766)、広島の菊池涼介(.757)、中日の阿部寿樹(.715)の4選手がいて、吉川のOPSはリーグで3番目となる。
東京ドームで始まった独自調整が認められるS班のキャンプ。ベテランと外国人選手中心の中で、吉川は最年少メンバーとして、ここから2021年のシーズンをスタートさせている。
「同じ左打者の丸(佳浩)さん、亀井(善行)さん、梶谷さんだったりに、バットの出し方だとか意見を聞いて、自分で試してみたり」と試行錯誤を繰り返すが、その中でまず取り組んでいるのが逆方向へのバッティングだ。