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巨人・原辰徳監督、今季“理想の打線”が「2番・坂本勇人」から変わったワケ…カギは吉川尚輝のOPS
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2021/02/06 11:02
キャンプでの打撃練習中、笑顔を見せる坂本
「バントをしない前提ならば2番は左がいい」
それはこの1、2番を逆にした1番・清水、2番・仁志というセットである。
確かに前年の97年シーズン後半は清水が1番を打つケースも多かった。トップバッターとしての適性は02年に1番でシーズン最多安打を記録したことも考えれば、むしろ仁志よりも高かったかももしれない。
一方、仁志は仁志で小柄な体躯の割には長打力があるのが売りだったが、器用でエンドランや右打ち、バントもしっかりこなせる2番向きの選手でもあった。
「でもバントをしない前提ならば2番は左がいい。左バッターは速い真っ直ぐにタイミングさえ合わせていれば、緩い球でもヘッドさえ返せば一、二塁間に打てる。でも右打者はタイミングを外されて緩い球にヘッドが返ると、ショートやサードへのゴロになってゲッツーの確率が上がる。だから仁志と清水を攻撃的に並べるならば1番・仁志、2番・清水がベストなんです」
ミスターの説明だった。
そうして最終的には1番・仁志、2番・清水というセットを決断し、その2人がしっかりそれぞれの役割をこなした訳である。
原監督の理想は、あっさり変わっていた
そう考えたとき、今年の巨人の2番は誰が適任なのか?
実は去年、DeNAからフリーエージェントとなった梶谷隆幸外野手を獲得したその会見で、原辰徳監督はこんな構想を語っていた。
「理想は1番・梶谷、2番・坂本、3番・丸、4番・岡本。(梶谷加入で)強いパーツが加わった」
昨シーズンの梶谷はDeNAの1番打者として打率リーグ2位の3割2分3厘、19本塁打、53打点をマーク。だから梶谷は2番・坂本以下への流れを完成させる選手、という評価だったのである。
ところがそれから1カ月半ほどしか経っていない現在の原監督の理想は、あっさり変わっていた。