酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
カープ秘伝“非情なノック”と猛練習… 二軍キャンプが大瀬良、中崎、今村ら豪華投手陣なワケを高監督に直撃
posted2021/02/05 17:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
キャンプ3日目の2月3日も宮崎は暖かかった。
この地を訪れるたび、筆者は「日南市」と書いて「赤い」あるいは「カープ」とルビを振りたいような気持ちがある。
何しろ日南市天福球場ができたのは1962年だが、その翌年から広島キャンプが始まっている。12球団でも巨人の宮崎キャンプに次ぐ古さだ。貧乏な市民球団だった時代から、日南市民はカープを応援してきた。もちろんカープの本拠地は広島市だが、100万都市である広島の応援の熱気と、人口5万人の日南市の熱気ではひょっとすると日南市の方が“密度”が濃いのかもしれない。
去年までは天福球場前には屋台がにぎやかに並び、広島から、全国から、そして近隣からもファンが集まっていた。散歩をしている近所のおじさんが連れているチワワまで赤い服を着ていたくらいで、とにかく町中が真っ赤になって応援していた。
例年なら屋台でにぎわうはずの球場周辺だが
しかし、今年は様相が一変した。
新型コロナで無観客になった上に、一軍は沖縄県沖縄市で春季キャンプをスタートし、日南では二軍だけがキャンプを張ることになった。日南のファンにとってはダブルショックだ。
屋台村は駐車場に戻り、警備員以外誰もいない。例年なら選手を一目見ようと詰め掛けるファンをかき分けて球場に入ったものだが、今年は何にもなし。拍子抜けしたが気を取り直して観客席から野手の練習を見る。
普通ならスタンドは半分以上埋まるのだが、メディア以外誰もいない。とはいえ、お客がいなくても春季キャンプでやることは変わらない。メイングラウンドでは、野手陣はアップ、キャッチボールからペッパー、走塁とお決まりのコースで練習が進む。お客がいない分、選手の動きに集中できる印象だ。
広島と言えば猛練習。ノックの苛烈さで知られている。