プレミアリーグの時間BACK NUMBER
低調リバプールに何が起きている? 救世主候補は「ジーコを彷彿とさせるMr.クレバー」こと“あの新顔”
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2021/01/26 11:03
FA杯マンチェスターユナイテッド戦で先発出場したチアゴ・アルカンタラ。悩めるリバプールを救えるか
プレシーズンが不十分で、昨年9月の開幕当初から過密日程が続く今季、安定した強さを見せられずにいるチームは他にもいる。リバプールとの「2強」が続くと思われたマンチェスター・シティにしても、第18節を終えて今季最高の2位に浮上したばかりだ。
プレミア最多得点、サラーも13ゴール
バーンリー戦を終えてリバプールは首位と6ポイント差。計37得点は今季20チーム中の最多だ。計13得点でチーム得点王のサラーは、リーグ得点王争いでも首位を走る。シティを除き、ユナイテッド、チェルシー、アーセナル、トッテナムの「ビッグ6」構成員にとっても、ホーム無得点は複数回経験済みの出来事である。
そう考えればリーグでのユナイテッド戦後、「選手たちは本当に良くやっていたし、勝っていても出来過ぎではなかった」としたクロップの発言も、強がりではないように思える。
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無観客によりホーム有利となりえなかった一戦は、前月から調子と順位を上げてきた宿敵との強豪対決だった。加えて、ファンダイクとゴメスが長期戦線離脱中でマティプも怪我から復帰していなかった。ファビーニョとヘンダーソンの両MFをCBに回さざるを得なかった。中盤でプレーしたシャキリは約1年1カ月ぶりのリーグ先発でもあったのだから、チャンスを手にしながらの無失点はそう悪くない。
ファビーニョ、ヘンダーソンがCBをやる羽目に
唯一の問題は「点を取らなければ勝てない」ことだった。
2度の決定機にシュートが枠外と打ち損ねだったフィルミーノ、枠内シュートがなかったサラーとマネによる3トップの不振が取り沙汰された。だが、フィルミーノは前線と中盤を繋ぐ潤滑油の働きをしているのが実態であり、決定力の高さで知られる選手ではない。サラーとマネの静けさに関しては、当人の調子以外の影響もあるだろう。
CBの相次ぐ怪我により、ファビーニョ、続いてヘンダーソンが急造CBを務める羽目になったチームは、中盤以前でボールを奪い返しながら攻撃を続ける真骨頂を発揮しにくい状態にあると言える。
クロス供給源である両SBにもブレーキが
ひいては、まったく余裕のない相手が見せる心の隙と物理的スペースに、スピードのあるマネやサラーがつけ込む頻度が低下した。また、中央に本職を欠いた最終ラインだったことが影響し、両SBがクロスの供給源となる姿勢に軽くブレーキを踏んだ状態になったことも間違いない。