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低調リバプールに何が起きている? 救世主候補は「ジーコを彷彿とさせるMr.クレバー」こと“あの新顔”
posted2021/01/26 11:03
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
2020-21シーズンのプレミアリーグは何かと予想外が多い。
1月17日に行われたリバプール対マンチェスター・ユナイテッド(0-0)も、開幕前は優勝最右翼と目されて実際に首位で年を越していた前者が4位となる一方、優勝争いなど高嶺の花と思われた後者が2週連続で首位に立つ結果となった。
アンフィールドでスコアレスドローを演じたリバプールは、ホームでのリーグ戦無得点が「ほぼ2年ぶりの出来事」と騒がれた。翌朝、国内紙のスポーツ1面を飾った写真では、クロップ監督がタッチライン沿いで頭を抱え、フィルミーノがピッチ上で頭を垂れていた。マッチレポートには「プレッシャー」「スランプ」といった言葉が目立った。
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そのうえ、1月21日にはホームにバーンリーを迎えて0-1の敗戦。アンフィールドでの敗戦は約4年ぶりのことで、ホームでのリーグ戦無敗記録は68試合でストップした。昨季30年ぶりに就いたリーグ王座の防衛が危ぶまれ始めている。そして24日のFA杯ではユナイテッドとの打ち合いの末、2-3で敗戦。公式戦3試合勝利なしとなり、今季タイトルの1つを逃した。
リバプールは、それほど低調なのか? 答えはイエスであり、ノーでもある。
19試合を終えた時点の勝ち点は34ポイント。メディアが指摘していた通り、昨季の同時点より21ポイントも少ない。リバプール以上のポイント減は、昇格1年目の昨季は堂々の9位でシーズンを終えたが、今季ここまで1勝2分16敗、勝ち点5(昨季より24ポイント減)の最下位に沈むシェフィールド・ユナイテッドだけだ。
コロナ禍以前の昨季がすごすぎた
リバプールはリーグ戦の得点数が昨季の「47」から「37」に減り、失点数は「14」から「22」に増えている。
もっとも、コロナ禍で1日1000人台が命を落とすイングランドの日常と同様、ピッチ上の状況もネガティブな視点で捉え始めたらきりがない。
暗くて寒い冬に始まった3度目のロックダウンの最中、憂鬱になりがちな庶民にとっての心の支えと言っても過言ではないプロサッカーへの感謝も込めてポジティブに眺めてみれば、プレミア現役王者の成績も、今季がひどすぎるのではなく、昨季がすごすぎたと考えられる。