プレミアリーグの時間BACK NUMBER
低調リバプールに何が起きている? 救世主候補は「ジーコを彷彿とさせるMr.クレバー」こと“あの新顔”
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2021/01/26 11:03
FA杯マンチェスターユナイテッド戦で先発出場したチアゴ・アルカンタラ。悩めるリバプールを救えるか
その後半、久しぶりの先発で疲れが見えたシャキリではなくチアゴが前線に近い位置でチャンスメイクに絡めていれば、違った結果となっていたかもしれない。前線トリオへのお膳立ても求めつつ、コンディションも整った大物に本領を発揮してもらいたいところだ。
やはり輝くのはインサイドハーフ
チアゴは、加入後のリーグ戦は先発3試合中2試合でアンカーを務めているが、左インサイドハーフで起用された第5節エバートン戦(2-2)では、マンオブザマッチに値する活躍を見せた。後半アディショナルタイム、VARによるオフサイド判定で幻となったヘンダーソンのチーム3点目にも、クロスを放ったマネへノールックパスを通したチアゴが絡んでいた。
続くバーンリー戦は、マティプが復帰したがヘンダーソンが大事を取って欠場。チアゴは再びアンカーでの先発となったものの試合はまさかの零封負け(0-1)。圧倒的に攻め続けたリバプールだったが、83分にバーンズと競ったGKアリソンがPKをとられ、勝敗を分ける決勝点を決められた。
ADVERTISEMENT
43分、相手のミスでゴール前に抜けたオリジが余裕のあったGKとの1対1でシュートをバーに当てていなければ、「リーグ戦連続無得点」も3試合で止まり、攻撃陣の肩の荷も下りたリバプールの順当勝ちだっただろう。
「ミスター・クレバー」がゴールに近い位置にいれば
先制点を奪い損ねたことで、3割未満のポゼッションで守備に徹していたバーンリーは、時間の経過とともに攻めやすい相手から戦いにくい相手に変わっていった。この日のマンオブザマッチを選べば、バーンリーのGKポープかCBタルコウスキになる。57分にフィルミーノと同じタイミングでベンチを出たサラーが3分後に放った鋭いシュートも、ポープの好セーブに阻まれた。
リバプールの攻撃は、最後まで闇雲なクロスと強引な突破が増えただけのようだった。まるで万策尽きたかのような状態。だからこそ、やはり持ち前のセンスで攻撃に意外性をもたらすチアゴが、オンザボールでもオフザボールでも「ミスター・クレバー」と呼べる新MFが、より相手ゴールに近い位置にほしかった。