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低調リバプールに何が起きている? 救世主候補は「ジーコを彷彿とさせるMr.クレバー」こと“あの新顔”
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2021/01/26 11:03
FA杯マンチェスターユナイテッド戦で先発出場したチアゴ・アルカンタラ。悩めるリバプールを救えるか
昨季13アシストのアレクサンダー・アーノルドと、12アシストのロバートソンは今季、19試合終了時点で合わせて7アシストにとどまっている。
メディアは、リーグ戦出場9試合で5得点をあげていたジョタの怪我も指摘している。
ロストボール直後に奪い返しきれない
個人的には、南野拓実の主力化に期待したい気持ちもあった。しかしながら、貴重な先発の機会を与えられた第14節クリスタルパレス戦(7-0)でプレミア初ゴールを記録したが、ロストボール直後の力勝負でボールを奪い返せないこともあった。後方がベストメンバーでないチーム事情も相まって、引き続き南野の出場時間が限られていても仕方がないのかもしれない。
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その点、昨季までウルブズでイングランドのピッチを3シーズン経験しているジョタは、指揮官が「スピード、フィジカル、テクニックを兼ね備えていて、予想していたより遥に素晴らしい」と言って目を細める、紛れもない即戦力だ。
とはいえ、そのジョタも昨年12月に全治約2カ月の怪我をしているのだから、ないものねだりをしても意味がない。
コロナ、怪我の不運があったチアゴだが
そこで再びポジティブな視点から注目したい戦力が、新MFのチアゴだ。
今季開幕前にバイエルンから移籍した29歳は、昨年9月後半にはコロナウイルス陽性反応による自己隔離、翌月後半からは2カ月半ほど膝の怪我でピッチから遠ざかる不運に見舞われながらも、出場すれば“予想通り”のハイクオリティを示し続けている。リバプールでの6試合目、リーグ戦5試合目のユナイテッド戦でもそれは同様だった。
往年のリバプールMFであるグレアム・スーネスはチアゴについて「対戦した選手のなかでベストだと思っているジーコを彷彿させる」とまで評した。ポジショニング・センス、優れたピッチ上の視野、レンジの広いパス能力、さらには献身的な守備と効果的インターセプトといった持ち味を発揮しながら、攻撃の糸を引いていた。
アンカーでの先発ながら終盤の78分には20m強の距離からゴール左上を狙った右足ミドルで、ユナイテッドGKデヘアに90分間で唯一の本格的セーブを強いてもいる。