酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
数字で検証・巨人FA移籍で成功した打者はいるか? 小笠原道大でも活躍は“4年だけ”【梶谷隆幸は?】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byShigeki Yamamoto/Hideki Sugiyama
posted2020/12/14 17:15
巨人FA選手で最も活躍した小笠原道大(左)。巨人加入が決まった梶谷隆幸はどのようなキャリアになるのか
<巨人FA移籍選手 安打数10傑>
1 村田修一 2012年(横浜)765安打
2 小笠原道大 2007年(日本ハム)745安打
3 清原和博 1997年(西武)720安打
4 江藤智 2000年(広島)465安打
5 落合博満 1994年(中日)362安打
6 広沢克己 1995年(ヤクルト)296安打
7 丸佳浩 2019年(広島)276安打
8 陽岱鋼 2017年(日本ハム)221安打
9 片岡治大 2014年(西武)211安打
10 炭谷銀仁朗 2019年(西武)51安打
実は小笠原も活躍したのは“4年だけ”
巨人にFA移籍した打者で、現時点で最も成功したのは、紹介したように2007年に日本ハムから移籍した小笠原道大だ。しかしその小笠原でも、活躍したのは4年だけだ。5年目からは成績が急落した。
<小笠原の日本ハムと巨人での成績の比較>
日本ハム 10年 4175打1335安239本730点 率.320
巨人 7年 2519打745安138本413点 率.2957
日本ハム時代の成績にはレギュラーになる前の数字も含まれているが、それにもかかわらず通算の数字も、年平均成績も圧倒的に移籍前の方が上だ。しかし年俸総額は、世間に発表されている数字によると……
日本ハム 10年 18億9600万円(年平均1.9億円)
巨人 7年 23億8000万円(年平均3.4億円)
巨人時代の方が倍近く高いのだ。
FA選手の主要タイトル獲得はない
巨人にFA移籍した打者の多くは、NPB屈指の強打者だ。移籍前には多くのタイトルを獲得していた。しかし巨人にFAで移籍後、打撃主要タイトルを獲得した選手はいない。
端的に言えば、FAとは、「実力が頂点のタイミングで選手を獲得し、以後の右肩下がりのキャリアを高い価格で買う」ことなのだ。