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【井納翔一は?】数字で検証・巨人FA移籍で成功した投手はいるか? 人的補償で一岡&平良を手放した痛み
posted2020/12/14 17:16
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Koji Asakura/Hideki Sugiyama
打者編でも触れた通り、梶谷隆幸と井納翔一の巨人加入が決定した。こちらでは投手について触れていく。過去、巨人にFAで移籍した投手は13人いる。野手編と分けて2回シリーズでお送りするこの企画、こちらではまず勝利数上位5人の実績を振り返っていこう。
以下は移籍年度(移籍元の球団)、移籍初年度の満年齢、◎=人的補償選手、巨人での実働年数、巨人在籍期間の成績、獲得した主要タイトルである
人的補償になったFA選手は工藤ただひとり
1 工藤公康 2000年(ダイエー)37歳
7年 128試53勝40敗0SV 0HD 789.1回 防御率4.05
ベストナイン、ゴールデングラブ各1回
37歳と高齢での移籍だったが、10勝以上を3回記録。「優勝請負人」として2000年、2002年のリーグ優勝、日本一に貢献した。なお2002年の巨人監督は就任したばかりの原辰徳だった。工藤は左肩痛に苦しみながら43歳まで投げたものの2007年、門倉健のFA移籍の人的補償として横浜に移籍した。殿堂入りした大選手で人的補償となったのは現在まで工藤だけだ。
2 杉内俊哉 2012年 (ソフトバンク)32歳
4年 91試39勝22敗0SV 0HD 571回 防御率3.03
最多奪三振1回
ソフトバンクの左腕エース。移籍1年目の2012年から3年連続で2ケタ勝利。菅野智之、内海哲也らと盤石の先発投手陣を形成し、奪三振率も高かった。しかし2015年に股関節を手術し、2016年以降は一軍での登板なし。再起をめざしていたが、2018年限りで引退した。巨人在籍7年のうち、実働は4年だった。
3 大竹寛 2014年 (広島)31歳 ◎一岡竜司
7年 126試28勝23敗0SV 24HD 404.2回 防御率3.85
広島の先発投手。移籍1年目こそ9勝を挙げたが、以後はシーズン通して活躍することはできず。彼の人的補償で広島に移籍した一岡竜司が広島でセットアッパーとして活躍しただけに大竹にはプレッシャーがかかった。2019年からは中継ぎ投手に転向し、まずまずの成績を上げている。