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ラツィオに大黒柱インモービレの“コロナ隠蔽”疑惑で捜査が…最悪、リーグ追放も 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2020/11/29 17:00

ラツィオに大黒柱インモービレの“コロナ隠蔽”疑惑で捜査が…最悪、リーグ追放も<Number Web> photograph by Getty Images

“コロナ隠蔽疑惑”が出ており、ラツィオとインモービレは周囲の雑音とも戦わなければならない

 彼らが検査を委託しているのは、ローマ郊外のフォルメッロ練習場から州境を越えて270kmも離れたカンパーニャ州アベリーノにある『フトゥーラ・ディアニョスティカ』社(以下『フトゥーラ』社)という施設だ。

 ラツィオのクラウディオ・ロティート会長は『フトゥーラ』社を選定した理由について、自身がカンパーニャ州に所有するセリエBクラブ、サレルニターナの「近場だったから。ついでにラツィオの検査もお願いしたまで」と説明しているが、より設備の整った首都のローマからわざわざ遠方の小規模試験所へ依頼する動機としては、いささか無理がある。その内に、実は会長が『フトゥーラ』社代表の親族と古くから昵懇の間柄であることを『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙がすっぱ抜いた。

容易に隠蔽できる条件が揃っている

 イタリア国内では、陽性が確認された場合は住所登録する地域のASL(地方保健所)へ報告する法的義務が生じるが、州境を越えたカンパーニャ州にある『フトゥーラ』社にはその義務がない。

 つまり、ラツィオには選手の陽性反応を隠そうと思えば容易に隠蔽できる条件が揃っていたのである。この抜け穴を用いて、本来プレーさせるべきでない選手を出場させて試合を有利に運ぼうとした可能性が否定しきれない。

ルール破りの“前科”があるだけに

 なんせラツィオには、ルール破りの“前科”がある。

 昨季のリーグ中断中、政府や保健相が団体スポーツの再開に神経を尖らせていた時期に、ラツィオは当局からお叱りを受けている。

 感染を警戒してグループ単位での練習が解禁されたのは5月18日だが、その4日も前にその禁を破って3対3のミニゲーム練習を行っていたのがバレたからだ。わざわざ普段は使わない育成年代のグラウンドにグリーンシートの幕を覆って実施したあたり、最初から隠蔽する気満々……。元々、今回の事件が疑われる素性があったのだ。

 11月6日、ローマ地方保健所が「(26日以降の)陽性患者発生についてラツィオ側から正式な連絡も通告も一切受領しておりません」と声明を発表したことで、クラブの立場は急速に悪化した。

【次ページ】 検査体制と精度に対する疑念は大きくなり

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