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ラツィオに大黒柱インモービレの“コロナ隠蔽”疑惑で捜査が…最悪、リーグ追放も
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2020/11/29 17:00
“コロナ隠蔽疑惑”が出ており、ラツィオとインモービレは周囲の雑音とも戦わなければならない
ところが翌2日、ラツィオがCLグループリーグ第3節のゼニト戦に向け検査を実施したところ、MFルーカス・レイバとGKトマス・ストラコシャに加え、インモービレにも再び陽性反応が出た。
つまり、わずか8日間でインモービレの肉体には“コロナ陽性から陰性、また陽性”という奇怪な現象が無症状のまま起こったことになる。
何者かが「陰性」を捏造したのでは?
ここで疑念が生まれた。
実はインモービレは、26日の検査からずっと陽性のままだったのではないか? トリノとの試合に出場させるため、何者かがインモービレの「陰性」を捏造したのではないか?
これが事実なら、感染再拡大の緊張のなかで開催されているカンピオナートの信頼性を根底から揺るがしかねない一大事だ。
リーグ機構は事態の深刻さを察知し、FIGC(伊サッカー連盟)も各メディアも即座に調査を開始した。そして、彼らはすぐに"検査施設"という疑いの源泉に辿り着いた。
UEFAが欧州カップ戦の出場クラブに義務付けるコロナ検査は、ミュンヘンに本社を持ち欧州中に設備拠点を持つ大手研究機関の『SYNLAB』社に、大陸共通の統一フォーマットで委託されている。
しかし、セリエAの検査機関選定は各クラブの自由裁量に任されており、スペツィアとラツィオを除く18クラブが、それぞれが本拠地を置く州内の機関に委託している。例外の2クラブのうちスペツィアが委託しているのは、車で2時間以内のフィレンツェにあるUEFA御用達の『SYNLAB』社試験場だから、信頼性に問題はない。
腑に落ちないのは、ラツィオの委託先だ。