セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ラツィオに大黒柱インモービレの“コロナ隠蔽”疑惑で捜査が…最悪、リーグ追放も
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2020/11/29 17:00
“コロナ隠蔽疑惑”が出ており、ラツィオとインモービレは周囲の雑音とも戦わなければならない
ファンの間では、8日の大一番ユベントス戦を前に「インモービレは出場できるのか(=陰性なのか)?」という疑念が沸騰。
心証回復の一手として、ラツィオは試合48時間前の通例検査を『フトゥーラ』社に加え、信頼と実績のあるローマの大手機関『カンプス・ビオメディコ』社にも依頼することで異例の2重チェック態勢をとったが、これが完全に裏目に出た。
検査体制と精度に対する疑念は大きくなり
『フトゥーラ』社のPCR検査がチーム全員に「陰性」判定を出したのに対し、ASローマの検査も常時請け負う『カンプス~』社の検査では、4日前に行われたUEFAフォーマットの検査同様インモービレ、レイバ、そしてストラコシャの3人に「陽性」反応が出たのだ。
これによって、インモービレら3人は即座に練習場を退去。自宅隔離を余儀なくされ、ユーベ戦出場の可能性は消滅した。エースFWはSNSで「自分はプロトコルを守ってきた」と潔白を主張したが、トリノ戦を陽性のままプレーした可能性が濃厚となった。
会長懇意の『フトゥーラ』社の検査体制とその精度に対する疑念はますます大きくなり、それまで何ら問題はないと強弁してきたチームドクター、イボ・プルチーニ医師の顔色も変わった。
そもそも、ラツィオのメディカル・ディレクターとしてクラブ関係者の健康責任を負うプルチーニ医師は、著名な実績と肩書を持ちながらも微陽性反応を軽んじ、「無症状陽性患者を病人扱いするのは大げさ。無症状の陽性スポーツ選手を試合に出さない理由はない」などの問題発言で知られていた。
昨シーズン中に放言した「コロナは風邪ウイルスの一種にすぎない」「医学は理念ではなく芸術だよ」といったコメントまで掘り起こされ、すでに連盟や検察庁から数度の事情聴取を受けている。
さらに11月7日、クラブは激震に見舞われた。