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マラドーナに聞いた「“伝説”として崇められることをどう思いますか?」【生前最後のインタビュー】
text by
フローラン・トルシュFlorent Torchut
photograph byDavid Cannon/Getty Images
posted2020/11/30 11:03
10月30日には60歳の誕生日を迎えていたマラドーナ。おそらく、これが生前最後のインタビューとなった
「まず、僕が一度も見たことがない素晴らしい選手がたくさんいる。たとえばアルゼンチンには、僕が子供のころに誰もが称賛を惜しまないアマデオ・カリーソ(1945年から68年までリーベル・プレートのゴールを守り、58年スウェーデンW杯ではアルゼンチン代表の守護神を務めた)という素晴らしいGKがいた。僕自身はプレーを一度も見ていないが、誰もが『彼は神がかっている』と語っていた。それからフランツ・ベッケンバウアーも、活躍した時期は僕がデビューするちょっと前で、ピッチの上では一度も顔をあわせなかった。
アルゼンチンでプロデビューしてからは、GKではパト(ウバルト)・フィジョール(78年W杯優勝チームの正GK)、DFでは《エル・マリスカル(元帥)》と呼ばれたロベルト・ペルフーモ(64年東京五輪、66年・74年W杯出場。ラシン・クラブ、クルゼイロ、リーベルプレートで活躍し、世界最高のサイドバックの評価を得ていた)、アルベルト・タランティーニ(78年W杯優勝、フランスではトゥールーズとバスチアでプレー)らがいる。彼らは今では忘れられているが、当時は対戦するのがとても厳しかった。
あと、中盤を選ぶならシャビとルカ・モドリッチ。前線はメッシとクリスティアーノで決まりだ」
――ジネディーヌ・ジダンやガブリエル・バティストゥータ、クリスティアーノ・ロナウド、ダビド・トレゼゲ、キリアン・ムバッペ……。あなたについて語るとき、誰もが目を輝かせます。伝説と崇められ、オマージュを捧げられることを嬉しく思いますか?
「彼らのような偉大な選手たちが、愛情を込めて僕を語ってくれるのを名誉に思う。彼らとは良好な関係を保っているし、互いに尊敬しあってもいる。彼らがいたから僕の人生も豊かになった。それから60歳の誕生日を機に、FF誌でこんな話ができて本当に良かったと思っている」
#1 【生前最後のインタビュー】マラドーナが語っていた“サッカー人生の誇り”「ボールを通じて人々を幸せにできた」 から続く