でも、こうして中村俊輔の持ち込み企画みたいな形で実現できたのは、番組の価値を上げてくれましたね。あとは、やっぱり選手とボールを蹴るのは楽しいです」

――選手とプレーする企画と言えば、フットサル対決がありましたね。

「毎年、めちゃめちゃ楽しみにしていました。プロの選手とやると自分のプレーが上手く見えるんですよ。しかも、たまにわざと削ってくれたり、笑いどころというか、見せ場を作ってくれるんですよね。特にフットサルの選手が参加してくれた時は、面白かったですね。

　やべっちF.C.チームが負けていると、彼らが本気を出して3－0やったら3－2ぐらいにしてくれるんですよ。その時、僕は無視されるんですけどね（苦笑）。そうなるとサッカー選手がフットサルの選手に焼きもちやくんですよ。『フットサルが畑やと負ける』『あいつらエグイ』って（笑）」

――選手同士もバチバチになっていくんですね（笑）。

矢部　「1回、原口（元気）選手が来た時、フットサルの森岡（薫）選手と本気になってやりあったんですが、それがたまらなく面白くて（笑）。試合後は、『熱くなってすいません』ってお互いに話をしているのも気持ちいい。そういうことが見れて、自分もプレーできる。番組というボールを蹴り続けていたらええことあるんやなって思いましたね」

6万人が「やべっち」チャント

　長く続けていると、思いがけないプレゼントをもらうことがある。南アフリカW杯の最終予選、試合を見に行った矢部さんは、関係者の部屋の前のシートに座ろうと外に出てくるとファンに見つかった。「やべっち！！」と大騒ぎになり、やがてそのザワザワはゴール裏の日本代表サポーターにも伝播していった。すると、いつもの日本代表のチャントが始まった。

「オーバモニィッポーン、ニィッポン、ニィッポン、バモニッポーン！！」

　6万人の声は、とてつもない迫力だ。矢部さんは、声の圧を肌で感じ、気持ちが高揚するのを感じていると突然、歌詞が変わった。ニッポンの部分が「やべっち」に変わり、6万人の大合唱が始まったのだ。

――それを聞いた時、どんな気持ちでしたか。