――選手がミックスゾーンで足を止めて自ら声をかけたり、番組の企画にノリノリで参加してくれるのは矢部さんの「選手へのリスペクト」が見えるからだと思います。番組でも出しゃばらずに選手を立てているのが印象的でした。

矢部　「それは選手に対してだけじゃなくて、相方とか番組に来てくれたゲストを面白くするのが僕の基本スタンスだからやと思います。『やべっちF.C.』も気が付いたらその方向になっていたので、そういうやり方が好きなんですよ。

　スポーツ選手がイジられて見せる照れた顔とか、かわいいじゃないですか（笑）。試合で真剣勝負している中、自分の番組に来て、試合の時とは違う表情を見せてくれたらいいなぁと思ったし、そこを引き出せたらと思っていました。ただ、僕の中では常に選手へのリスペクトがありますし、嫌なイジリは絶対にしないようにしています」

解説に「プレースタイル」が出る？

――『やべっちF.C.』では解説者とのやり取りもそれぞれ味がありました。

矢部　「みんな、カラーがありますし、コメントにプレースタイルが反映されますよね。例えばゴン（中山雅史）さんのプレーって全力で突っ込んでいくじゃないですか。解説もぶわーって早口なんですけど、表現がうまく出てこない時は雄たけびを上げて勢いで行くんです（笑）。

　中田浩二さんは、めちゃ冷静ですね。普通は現役を引退したばかりで解説を始めるとうまくしゃべれないものなんです。中田さんも『すいません、不慣れで』というんですけど、そういう自分を楽しみながら解説している。名波（浩）さんは、パサーの美学というか、見る角度が“通”で、どなたも解説とプレースタイルがリンクしてるんですよね」

――確かに、わかる気がします。

矢部　「たまに、名波さんと一緒に試合映像を見て、僕がコメントすると、『矢部さんに先に言われました』とか言ってくれるんですけど、同じ目線やなと思って単純に嬉しいんですよね（笑）。僕も『やべっちF.C.』に出ている時の芸風は、高校時代のプレースタイルと同じでパサーなんです。サッカーのポジションは自然と性格としても出てくるというか」

――番組には多くの選手が出演しました。長く続いた番組の中で矢部さんと選手のやり取りを見ていると、小野伸二、高原直泰、稲本潤一ら『黄金世代』への思い入れがすごく深いような気がします。

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