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巨人が「ソフトバンクに4連敗」の影に怯えている? エース菅野智之が“ねじ伏せられなかった”ワケ
posted2020/11/22 12:15
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
自信に満ちて相手を見下ろして戦うソフトバンク。重圧が重圧を呼んで相手の影がどんどん大きくなってしまった巨人。それが日本シリーズの第1戦だった。
ソフトバンクが千賀滉大投手、巨人が菅野智之投手という両エースの激突となった日本シリーズ初戦は、昨年4連勝で日本一に輝いたソフトバンクが5対1で完勝した。
屈辱の4連敗。勝負の裏には巨人選手たちに、その昨年のトラウマが大きな影を落としているように見えた。
その影が端的に出たのが菅野のピッチングだったのではないだろうか。
抜け気味のボールが増えて、痛打される場面も
今季は開幕から13連勝を飾り、リーグ連覇の原動力となった右腕だが、連勝中も決して絶好調というわけではなかった。
今季は昨年、痛めた腰への負担を軽減するために、腕から始動するフォームに改造。そのお陰でほぼフルシーズン、故障によるリタイアもなくマウンドに立つことができた。
またこの改造でボールの威力は増したことも確かだが、その反面、生命線の真っ直ぐとスライダーに抜け気味のボールが増えて、そこを痛打される場面が見られてもいた。
そこでシーズン中はピッチングの組み立てを変え、序盤からフォークを多投するなど、これまでの真っ直ぐとスライダーというイメージを崩すことで連勝街道を走ってきた面もあった。
だがこの日の菅野は、「1球の失投も許されない」「絶対に先に点をやれない」という強い意志を感じさせる気迫のマウンド。だからこそ立ち上がりは真っ直ぐとスライダーを軸に、王道ピッチングでソフトバンク打線に立ち向かっていった訳である。