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巨人が「ソフトバンクに4連敗」の影に怯えている? エース菅野智之が“ねじ伏せられなかった”ワケ
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/11/22 12:15
栗原に本塁打と二塁打2本で4打点を許した菅野。1人の打者にこれほど打たれるのは珍しい
ソフトバンクの影に巨人ナインが怯えている?
しかし初戦の菅野のピッチングを見ると、やはり影を消し去るどころか、むしろ大きくなったソフトバンクの影に巨人ナインが怯えているようにさえも見える。
逆にソフトバンクは王者の余裕で巨人を飲んでかかっている。
千賀は決して絶好調ではなかった。
巨人打線が低めを徹底して捨てて、フォークを見切られた。真っ直ぐも高めに浮いて制球ももうひとつだった。それでもそれならとばかりに力でねじ伏せにかかって7回を無失点で抑え切った。
そこから5点差があってもリバン・モイネロ投手とクローザーの森唯斗投手へと万全の継投で逃げ切った。
「千賀がよく投げてくれたし、栗原もよく打ってくれた」
投打のヒーローをこう称えた試合後の指揮官はこう語っている。
「みんなが勝つんだという強い気持ちを持ってやってくれた結果だと思う。我々の目標はあくまで4年連続日本一ですから」
場合によっては菅野の中3日での登板の可能性を示唆
打倒巨人ではない。相手がどこだろうと日本シリーズという舞台で、勝ち切ることだけを目的に戦うという意思表示だった。
一方、初戦を落として、改めてソフトバンクの印象を問われた原監督は言葉が少ない。
「まだ何とも言えません。大したことないなとか、強いなとかそんなこと言えません」
さらに相手のパワーについて聞かれると「分かりません。その辺は終わってから話しましょう」と口をつぐんだ。ただ、4点差となった直後の6回、87球で降板させた菅野に対しては「トータルでということを考えて最善策ということ」と中4日、場合によっては中3日での登板の可能性を示唆して球場を後にした。
初戦を終えてなお巨大化していく王者・ソフトバンクの影を消しさって自分たちの野球ができるのか。巨人の救いは、去年のシリーズで沈黙した坂本勇人内野手と丸佳浩外野手に初戦で1本が出たことだった。
やはり巨人がこの苦境を脱するのは、シーズン中と同様に打線で窮地を切り開くしかないのだろう。