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巨人が「ソフトバンクに4連敗」の影に怯えている? エース菅野智之が“ねじ伏せられなかった”ワケ
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/11/22 12:15
栗原に本塁打と二塁打2本で4打点を許した菅野。1人の打者にこれほど打たれるのは珍しい
6回に失った2点が巨人の致命傷だった
マークしていた柳田悠岐外野手には初回の第1打席で徹底した内角攻め。その後への残像を意識したピッチングで、最後も膝下のスライダーで空振り三振に仕留めた。ただ、立ち上がりから全体的にボールは抜け気味で高く、2回にその抜けたスライダーを栗原陵矢外野手に2ランされた。
そうして4回にも栗原にインコースの真っ直ぐが浮いたところを右翼線に二塁打されて、迎えた6回だ。
2死から柳田への死球とジュリスベル・グラシアル外野手の右前安打の一、三塁となった栗原の3度目の打席。2ボール1ストライクから、またもフォークが高めに浮いたところを左中間に運ばれ2人の走者が一気に生還した。
ここで失った2点が巨人の致命傷だった。
あの菅野が3度も同じ打者に失投を繰り返して打たれた
普段通りを目指したが、普段通りではなかった。抜けたボールがあるのは今季の菅野。そう考えれば2回の2ランは、ある意味、想定内の仕方のないものだったかもしれない。
ただ、いつもなら勝負所では意思の通った力のある球を投げて相手をねじ伏せてきた。それが菅野という投手の真骨頂のはずなのだ。
しかし栗原の3度目の打席はねじ伏せにいったが、ボールが全て思ったより高めに浮いて打ち崩された。あの菅野が3度も同じ打者に失投を繰り返して打たれたのである。
普段の投球ではなかった。
それが4連敗の重圧。強いソフトバンクの影がどんどん大きくなって、必要以上に意識してしまった結果だった。
思い出すのは工藤公康監督と原辰徳監督がそれぞれのチームの投打の主力選手として対戦した90年の日本シリーズだ。